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公的な支援

よろず支援拠点とは|何度でも無料の国の経営相談所でできることと、会社を売る・継ぐ相談での役目

よろず支援拠点は、国が47都道府県に置く、何度でも無料の経営相談所です。相談できる人と相談の中身、相談の流れ、会社を売る・継ぐ相談での役目、事業承継・引継ぎ支援センターなど国の無料窓口との違いを、中小機構と中小企業庁の資料で確かめました。

書いた人

M&A仲介の通信簿 編集部

国の「M&A支援機関登録制度」の届出を毎月取り込み、仲介会社の手数料を同じ条件で計算して載せています。記事は中小企業庁のガイドラインなど公的な資料にもとづいて書き、仲介や交渉、価格や税の助言はしません。

いろいろな品物が置かれた相談の机が並ぶ公的な相談所の入口で、案内役が社長に中を示しているアイソメトリックのイラスト
社長

取引先から「よろず支援拠点に相談してみたら」と言われました。名前は聞いたことがありますが、どんな所なのか、会社を売るかどうかの相談もできるのか、よく分かりません。

案内役

よろず支援拠点は、国が各都道府県に置いている経営の相談所です。どんな所か、相談の流れ、会社を売る・継ぐ相談での役目、ほかの国の窓口との違いを、中小機構と中小企業庁の資料で確かめていきます。

先に結論

  • よろず支援拠点は、2014年から国が各都道府県に1つずつ置いている経営の相談所です。経営のどんな相談にも何度でも無料で応じると、全国本部(中小機構)のサイトに書かれています
  • 相談できるのは、中小企業・小規模事業者と、それに近いNPO法人などの団体、創業を予定している人です。令和6年度の相談の内訳は、売上拡大が57.0%、経営改善が23.8%、創業が14.5%、事業承継が3.4%、廃業が1.1%でした
  • 国の事業承継ガイドラインによると、よろず支援拠点の専門家は事業承継の相談にも応じ、専門性の高い事業承継の計画づくりなどは、事業承継・引継ぎ支援センターなどに紹介します(131ページ)
  • 今回確かめた国の資料には、よろず支援拠点が会社の買い手を探すという記述は見当たりませんでした。M&Aの相手探しから成約後までの支援が書かれている国の窓口には、事業承継・引継ぎ支援センターがあります(中小M&Aガイドライン 60〜61ページ)
  • 中小企業庁の検討会の報告書は、よろず支援拠点・中小企業活性化協議会・事業承継・引継ぎ支援センターの3つで、相談を受け渡したり一緒に支援したりする体制づくりが進められていると書いています(20ページ)
  • 2026年4月1日からは、全国のよろず支援拠点の中に「生産性向上支援センター」が置かれ、専門家が現場を訪ねる支援も無料で受けられます
  • 仲介会社に会う前に、手数料と手元に残る額の目安を見ておけます:譲渡額3,000万円で計算する

よろず支援拠点とは

社長

国の相談所というのは、誰が、どこで運営しているのですか。

案内役

国の予算の事業で、都道府県ごとに選ばれた団体が事務局を務めています。始まりと運営のしくみを、中小企業庁の報告書で見ていきます。

中小企業庁の「地域の経営支援力強化に向けたよろず支援拠点のあり方検討会 報告書」(2025年3月31日公表)は、よろず支援拠点ができたいきさつを、次のように書いています(3ページ)。

  • 「自社の課題がはっきりせず、誰に聞けばよいか分からない」「支援機関が課題ごとに分かれていて、それをまとめてつなぐ所がない」という声が各地にあった
  • そこで2014年(平成26年)に、地域の支援機関と連携しながら、経営の相談に無料で何度でも応じる支援機関として、各都道府県に1つずつ置いた(国の予算事業)

報告書は、今のよろず支援拠点の働きを3つにまとめています(3〜4ページ)。

働き 報告書に書かれている中身
ワンストップの窓口 「どこに相談したらよいか分からない」事業者の課題を整理し、地域の金融機関や士業などの合う支援機関を紹介する。国などの支援策を使うことも促す
つなぎ役(コーディネート) 1つの支援機関では対応できない課題で、商工会・商工会議所や金融機関などをつなぎ、まとめて解決に取り組む
踏み込んだ経営の助言 中小企業診断士やITコーディネータなどの専門家が、課題の本質を見きわめ、市場の動きや広報のしかたなど、経営の中身まで踏み込んで助言する

運営のしくみは、次のとおりです(報告書 13〜14ページ)。

  • 中小企業庁と、全国本部を務める中小企業基盤整備機構(中小機構)が、制度の設計、全体の管理、各拠点の手伝いをする
  • 各拠点の事務局(実施機関)は、経済産業局・沖縄総合事務局が毎年度公募して選ぶ。実施機関の多くは、都道府県の公益財団法人
  • 拠点の責任者のチーフコーディネーターは、経済産業局などが公募して指名する。チーフコーディネーターと、中小企業診断士やITコーディネータなどの資格を持つコーディネーターを合わせて、約1,070人がいた(2024年4月時点)

全国本部の一覧(2026年10月16日に確認)で47都道府県の拠点の「設置機関」を数えると、公益財団法人が42、商工会連合会が3、商工会議所が1、一般社団法人が1でした。

相談できる人について、全国本部のトップページは、中小企業・小規模事業者のほか、NPO法人・一般社団法人・社会福祉法人などの中小企業・小規模事業者に近い団体と、創業を予定している人を挙げています(2026年10月16日に確認)。

誰が、どんな相談をしているか(令和6年度)

社長

ほかの会社は、どんなことを相談しているのですか。うちのような小さな会社が行ってもいいものでしょうか。

案内役

全国本部のサイトに、令和6年度の相談の内訳が載っています。相談した事業者の6割近くが、従業員5人以下です。

全国本部のサイト「よろず支援拠点・生産性向上支援センターとは」に載っている、令和6年度の円グラフの数字です(2026年10月16日に確認)。サイトには、集計のしかたによって、円グラフの合計が100%にならない場合があると書かれています。

相談の内容 割合
売上拡大 57.0%
経営改善 23.8%
創業 14.5%
事業承継 3.4%
廃業 1.1%
再チャレンジ 0.1%
相談した事業者の従業員の数(グラフの区分のまま) 割合
5人以下 57.9%
創業前 18.5%
〜20人 13.8%
〜50人 5.4%
〜100人 2.2%
〜300人 1.5%
300人超 0.5%

相談した事業者のうち、従業員5人以下の事業者がいちばん多く、57.9%でした。同じページの満足度の調査(令和6年度・全国平均)では、「大変満足・満足」が95.8%でした。

相談の量について、中小企業庁の報告書は、令和5年度に延べ40万件あまりの相談に対応したと書いています(4ページ。事業者ごとに立てた課題の延べの件数)。

相談の流れ

相談室のテーブルで社長が話し、案内役がうなずきながら青いファイルにメモを取っている場面
社長

相談に行くとしたら、どんなふうに進むのですか。

案内役

全国本部のサイトには、予約、聞き取りと提案、そのあとのフォローアップ、という流れが載っています。

全国本部のサイトの「ご相談の流れ」に書かれていることです(2026年10月16日に確認)。

  1. 予約: 近くの拠点のサイトを見て、電話・メール・FAXなどで予約する
  2. 聞き取りと提案: チーフコーディネーターを中心とする専門のスタッフが話を聞く。話しながら解決の手がかりを探し、実現できる解決策を提案する
  3. 提案のあとのフォローアップ: 提案した解決策に取り組む間も、フォローアップを続ける。途中で新しい課題が見つかったときも対応する

同じページには、課題に応じて合う支援機関を紹介することや、課題に合う支援機関どうしの連携をまとめることも書かれています。相談の予約のしかたや受付の時間は、拠点ごとに違うことがあるので、各拠点のサイトで確かめてください。

会社を売る・継ぐ相談で、よろず支援拠点ができること

社長

後継ぎがいないので、会社を売ることも考えています。そういう相談を、よろず支援拠点にしてもいいのでしょうか。

案内役

事業承継の相談にも応じると、国のガイドラインに書かれています。M&Aの相手探しから成約までの支援は、事業承継・引継ぎ支援センターの役目として書かれています。国の資料にある役割分担を見ていきます。

国の資料に書かれている、よろず支援拠点の事業承継への関わり方です。

  • 事業承継の相談: 在籍する専門家が事業承継などの相談に応じる。専門性の高い事業承継の計画づくりなどは、事業承継・引継ぎ支援センターなどの合う支援機関に紹介する(事業承継ガイドライン 130〜131ページ)
  • 60歳以上の事業者への診断: 経営の相談などに来た、おおむね60歳以上の事業者に事業承継の診断を行い、合う支援サービスや支援機関を紹介する(同 123〜124ページ)。ガイドラインは、こうした診断を、身近な支援機関が対面で10分ほどで行う形を基本としています(同 123ページ)
  • 廃業の相談: 廃業を含むいろいろな経営の課題に応じる窓口として、中小企業庁が各都道府県に置いている(同 52ページ)
  • ほかの国の窓口との受け渡し: よろず支援拠点・中小企業活性化協議会・事業承継・引継ぎ支援センターの3つで、相談を受け渡したり一緒に支援したりする体制づくりが進められている(あり方検討会の報告書 20ページ)

事業承継・引継ぎ支援センターについて、中小M&Aガイドライン(第3版)は、M&Aの相手探しと成約後までの支援、従業員への承継などの支援、事業承継の幅広い相談を行うとし、中小企業活性化協議会やよろず支援拠点などの公的機関や、民間の支援機関と連携していると書いています(60〜61ページ)。売るかどうかを決めていない段階でも相談でき、仲介会社・FAから受けている助言について、別の意見(セカンド・オピニオン)を聞くこともできるとしています(61ページ)。同じガイドライン(76ページ)は、センターを中小M&A全般の問い合わせ窓口として挙げ、「どの窓口に相談するか迷う際には、まずこちらの窓口に相談されたい」と書いています。

センターへの相談は無料で、センターから紹介された民間の支援機関に頼むと手数料がかかります(中小M&Aガイドライン 66ページ)。センターの支援の中身と相談の流れは事業承継・引継ぎ支援センターとはに、親族・従業員・社外への承継と廃業の比べ方は後継者がいない会社の選択肢にまとめています。

M&Aの最初の相談に持っていく書類について、中小M&Aガイドライン(34ページ)は、直近3年分の税務申告書・決算書・勘定科目内訳明細書の写しで十分としています。できれば、会社案内など事業の中身が分かる資料もあるとよいとしています。

民間の仲介会社に頼む場合の手数料は、会社ごとに国に届け出られています。届出から、手元に残る額の目安を確かめられます:譲渡額5,000万円で計算する

国の無料の相談窓口を並べる

よろず支援拠点を中心に、商工会・商工会議所からつなぎ、引継ぎ支援センター・中小企業活性化協議会と相談を受け渡す、国の無料の相談窓口のつながりを示した図
社長

国の窓口がいくつもあって、どこに何を聞けばいいのか、こんがらがってきました。

案内役

このサイトは、どこがよいとは言いません。国の資料に書かれている役目と費用を、表に並べます。

国の資料に書かれている範囲で並べました。費用の記述が見当たらなかった所は「記述なし」としています。

窓口 国の資料に書かれている主な役目 費用について書かれていること 出典
よろず支援拠点 売上・経営改善・創業・事業承継・廃業など、経営のいろいろな相談。合う支援機関の紹介とつなぎ役。47都道府県に1つずつ 何度でも無料 全国本部のサイト、事業承継ガイドライン 130〜131ページ
事業承継・引継ぎ支援センター 親族・従業員への承継の支援、M&Aの相手探しから成約後までの支援、後継者人材バンク、廃業の相談。全国48か所(東京都は2か所) 相談は無料。紹介された民間の支援機関に頼むと有料 中小M&Aガイドライン 60〜62・66ページ、事業承継ガイドライン 130ページ
中小企業活性化協議会 収益力の改善・事業の再生・再チャレンジを支援する。事業の再生が難しい会社には専門家を紹介し、円滑な廃業を支える 記述なし 事業承継ガイドライン 52・130ページ
商工会・商工会議所 小規模事業者の経営の改善や、事業計画づくり・販路の開拓などの支援。専門的な支援が要る相談は、よろず支援拠点につなぐのが適当とされる 記述なし あり方検討会の報告書 3・8・9・20ページ

報告書(10ページ)は、コンサルタントの費用を払う余力のある中小企業については、よろず支援拠点が深く入り込みすぎず、民間のコンサルタントなどにつないだり一緒に支援したりして、無料の支援が民間の仕事を圧迫しないよう気をつける、という方向も示しています。紹介された先の支援に費用がかかるかどうかは、紹介先に確かめてください。

国に登録したM&A仲介会社の手数料の届出は、通信簿で見られます。相談先ごとの違いは、銀行・税理士・仲介会社なども含めて会社を売る相談はどこにする?にまとめています。

2026年度から加わった生産性向上支援センター

社長

最近、よろず支援拠点の名前と並んで「生産性向上支援センター」というのを見かけます。

案内役

2026年4月1日から、全国のよろず支援拠点の中に新しく置かれた窓口です。全国本部のサイトに書かれていることを見ていきます。

全国本部のサイトに書かれていることです(2026年10月16日に確認)。

  • 人手不足などの課題に向き合う中小企業などが、無理なく生産性の向上に取り組めるよう、国がよろず支援拠点の中に置いた組織
  • 生産性向上の専門家(サポーター)が、何度でも無料で現場を訪ねる。訪問は複数回で、仕事の見直し・効率化・デジタル化などを一緒に進める
  • 最初に目標を決め、目標を達成したら支援は終わる。終わったあとも、フォローアップを続ける
  • 令和8年度には、よろず支援拠点・生産性向上支援センターの各拠点に「AIアドバイザー」が置かれ、AIを使える仕事の整理や、使うための準備を手伝う

全国本部の一覧には、47都道府県それぞれの生産性向上支援センターの設置機関と電話番号が載っています。

東海4県のよろず支援拠点

社長

私の会社は愛知です。愛知のよろず支援拠点は、どこが運営しているのですか。

案内役

全国本部の一覧で確かめた、東海4県の拠点の設置機関です。電話番号は一覧に載っていて、予約のしかたは各拠点のサイトで確かめられます。

全国本部の「全国のよろず支援拠点・生産性向上支援センター一覧」に載っている、東海4県の拠点です(2026年10月16日に確認)。4県とも、生産性向上支援センターの設置機関は、よろず支援拠点と同じでした。

県 拠点 設置機関
愛知県 愛知県よろず支援拠点 公益財団法人あいち産業振興機構
岐阜県 岐阜県よろず支援拠点 公益財団法人岐阜県産業経済振興センター
三重県 三重県よろず支援拠点 公益財団法人三重県産業支援センター
静岡県 静岡県よろず支援拠点 静岡商工会議所

各拠点の事務局は毎年度の公募で選ばれるため、設置機関が変わることがあります。ほかの都道府県の拠点は、全国本部の一覧で確かめられます。東海4県の事業承継・引継ぎ支援センターの所在地は、事業承継・引継ぎ支援センターとはに載せています。

よくある質問

社長 本当に、何度相談しても無料ですか?
案内役

全国本部のサイトに「何度でも無料で」相談できると書かれています。中小企業庁の報告書(3ページ)も、無料で何度でも応じる支援機関として、国の予算事業で置いたと書いています。よろず支援拠点から民間の専門家や支援機関を紹介された場合、その先の支援に費用がかかるかどうかは、紹介先に確かめてください。

社長 会社を売るかどうか、まだ決めていなくても相談できますか?
案内役

よろず支援拠点は経営のいろいろな相談に応じ、事業承継の相談にも応じると、事業承継ガイドライン(130〜131ページ)に書かれています。事業承継・引継ぎ支援センターも、売るかどうかを決めていない段階の相談に応じるとされています(中小M&Aガイドライン 60ページ)。

社長 商工会議所の経営相談とは、どう違いますか?
案内役

中小企業庁の報告書は、小規模事業者を支える公的な支援機関として商工会・商工会議所を挙げ(8ページ)、そこで受けた相談のうち、専門的な支援が要るものはよろず支援拠点につなぐのが適当としています(9ページ)。専門的な相談などで、商工会・商工会議所からよろず支援拠点につなぐ連携が行われているとも書いています(20ページ)。

社長 どこの拠点に相談すればいいですか?
案内役

よろず支援拠点は47都道府県に1つずつあります。全国本部の一覧で、各都道府県の拠点の設置機関と電話番号を確かめられます。予約は、電話・メール・FAXなどで受け付けていると、全国本部のサイトに書かれています。

社長

売上のことも、後継ぎのことも、まずよろず支援拠点で話してみます。会社を売る話が具体的になったら、センターのことも調べてみます。

案内役

よろず支援拠点もセンターも、相談は無料です。どこに相談するかは社長ご自身が決めることなので、国の資料の役目を見比べてから選んでください。

このデータについて

  • よろず支援拠点の説明、相談の流れ、令和6年度の相談の内訳・従業員の数・満足度、生産性向上支援センター、拠点の一覧は、よろず支援拠点全国本部(中小機構)のサイトを2026年10月16日に確かめたものです。令和6年度の数字は、サイトの円グラフの画像から読み取りました
  • 創設のいきさつ、拠点の働き、運営のしくみ、相談の件数は、中小企業庁「地域の経営支援力強化に向けたよろず支援拠点のあり方検討会 報告書」(2025年3月31日公表)によります。ページ番号は、各ページに印字された番号です
  • 事業承継との関わりは、事業承継ガイドライン(第3版・令和4年3月改訂)と中小M&Aガイドライン(第3版・令和6年8月)によります。事業承継ガイドラインのページ番号はページに印字された番号、中小M&Aガイドラインは各ページ下の「n / 139」の番号です
  • 設置機関の数は、全国本部の一覧に載っている47都道府県のよろず支援拠点の「設置機関」を数えたものです
  • 当サイトは、どの窓口に相談するかの助言や、価格・税・法律についての助言は行いません。個別のことは、各窓口や税理士・弁護士に確かめてください

出典