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公的な支援

事業承継・引継ぎ支援センターとは|無料の公的窓口でできることと東海4県の窓口

事業承継・引継ぎ支援センターは、国が各都道府県に置く無料の相談窓口です。受けられる支援、相談の流れ、民間の仲介会社との違い、愛知・岐阜・三重・静岡の窓口の場所を、公式サイトと国の資料で確かめてまとめました。

書いた人

M&A仲介の通信簿 編集部

国の「M&A支援機関登録制度」の届出を毎月取り込み、仲介会社の手数料を同じ条件で計算して載せています。記事は中小企業庁のガイドラインなど公的な資料にもとづいて書き、仲介や交渉、価格や税の助言はしません。

公的な相談窓口の建物とカウンター、社長を窓口へ案内する案内役のアイソメトリックのイラスト
社長

仲介会社に声をかける前に、どこか中立な所で、一度話を聞いてみたいと思っています。

案内役

国が各都道府県に置いている「事業承継・引継ぎ支援センター」があります。相談は無料です。できることと、相談の流れを見ていきましょう。

先に結論

  • 事業承継・引継ぎ支援センターは、国が47都道府県に置く公的な相談窓口です。親族への承継も、第三者への引継ぎ(M&A)も相談でき、相談は無料です
  • 相談のほか、センターによる相手探し、センターに登録した民間の支援機関の紹介、後継者人材バンクなどの支援があります。民間の支援機関による支援は有償です
  • 民間の仲介会社とM&Aを進めるときの、別の意見(セカンド・オピニオン)を聞く先としても使えると、公式サイトに書かれています
  • 東海4県の窓口は、名古屋市・岐阜市・津市・静岡市にあり、愛知は豊橋市にもサテライトオフィスがあります
  • センターに相談する前に、手数料の目安を見ておけます:譲渡額3,000万円で計算する

事業承継・引継ぎ支援センターとは

社長

国の窓口というのは、どこが運営しているのですか。

案内役

国の委託を受けた団体が運営しています。たとえば愛知のセンターは、名古屋商工会議所が国から委託を受けて運営しています。

中小企業基盤整備機構(中小機構)の「事業承継・引継ぎポータル」は、センターを次のように説明しています(2026年10月12日に確認)。

  • 国が設置する公的な相談窓口で、親族内への承継も、第三者への引継ぎも、中小企業の事業承継に関するあらゆる相談に対応する
  • 国が47都道府県に設置している
  • 相談に対応するのは、中小企業診断士や金融機関の出身者などで、税理士や公認会計士もいる

ポータルの一覧には、47都道府県のセンターに、東京都多摩地域のセンターを加えた48か所が載っていました。

中小企業庁のチラシ「M&A支援機関の選定・契約時に確認すべき事項」は、センターを「中小企業の事業承継に関するあらゆるご相談に対応する公的相談窓口」と紹介し、「秘密厳守で相談を承ります」「センターは国の委託事業」と書いています。

愛知のセンターのサイトによると、2020年6月の産業競争力強化法の改正にあわせて、それまでの「事業引継ぎ支援センター」に「事業承継ネットワーク」の働きを合わせ、今の形になりました。愛知では、2021年4月に、名古屋商工会議所が国から委託を受けて事業を始めています。

ポータルに載っているグラフでは、令和6年度の相談者数は23,540、事業引継ぎ件数は2,132でした。成約した譲渡企業の約7割が小規模事業者だとも書かれています(令和6年度の実績)。2026年版の中小企業白書は、第三者への引き継ぎの相談に限った数として、2024年度の相談者数を16,045者としています(第1-1-47図)。

センターで受けられる支援

社長

相談のほかに、どんなことをしてもらえるのですか。

案内役

公式サイトでは、相手探しの進め方が3つ示されています。センターが相手を探す方法、登録した民間の支援機関につなぐ方法、後継者人材バンクです。

ポータルの「第三者承継支援について」に書かれている支援は、次のとおりです(2026年10月12日に確認)。

支援 公式サイトに書かれている中身
相談 事業引継ぎにまつわる、あらゆる相談を無料で受ける。民間機関を使ってM&Aを進めるときの、セカンドオピニオンとしても使える
センターによる相手探し 進め方の助言と、譲渡先の紹介をする。条件のすり合わせや書類の作成に必要な専門家も紹介する。全国のセンターに寄せられた、買いたい側の情報から候補を紹介する
民間の支援機関につなぐ センターに登録した民間のM&A仲介業者や金融機関などを紹介する。紹介を受けた機関が、相手探しから成約までを行う。この支援は有償
後継者人材バンク 後継者のいない会社や個人事業主と、起業を目指す人を引き合わせる。商工会議所など創業を支援する機関と連携する

後継者人材バンクで引き合わせる相手は、経験や技術を生かして独立したい人や、事業や経営への意欲があるU・I・Jターンを望む人などです。ポータルは、後継者のいない事業者にとっての良い点として、事業を絶やさずに次の世代へ引き継げることや、従業員・取引先・地域の期待に応えられることを挙げています。気をつける点としては、親族に継ぐときと違って条件の取り決めがいろいろ要ることや、思いを十分に理解してもらうまで時間がかかる場合があることを挙げています。

ポータルは、民間のM&A支援会社では取り組みにくい場合でも、弁護士や税理士などの専門家と連携して支援を続けること、全国のセンターと情報を共有して、離れた地域どうしの相手探しにも対応できることも書いています。

愛知のセンターのサイトには、無料で行う支援として、事業承継の相談のほか、事業承継の診断による課題の洗い出し、事業承継計画の策定、相手探しの支援が載っています。センターの業務の内容には、経営者保証の解除に向けた専門家の支援も挙げられています。

センターが民間の支援機関につなぐ仕組みは、国の登録制度ともつながっています。中小企業庁財務課の2025年2月の文書によると、2025年4月1日から、センターの橋渡し先になる民間の支援機関(登録民間支援機関)には、国の「M&A支援機関登録制度」への登録が前提になりました。

相談の流れ(愛知のセンターの例)

社長

実際に相談すると、どんなふうに進むのですか。

案内役

流れはセンターごとに少しずつ違います。ここでは、愛知のセンターがサイトに載せている流れを、そのまま紹介します。

愛知のセンターの「相談」のページに書かれている、M&Aの相談の流れです(2026年10月12日に確認)。

  1. 予約: 電話か、サイトのメールフォームで申し込む。秘密を守るため、相談の時間が重ならないようにしているので、予約をしてから行く
  2. 相談: センターで、会社の状況と社長の意向を聞き、進め方について情報や判断の材料を伝える
  3. 仲介機関の紹介(M&Aを進めたい場合): センターと提携している仲介機関に、会社名を伏せた資料(ノンネーム資料)を出す。支援を希望した仲介機関と面談して、支援を受ける1社を決める
  4. 仲介の支援が始まる: 決めた仲介機関と契約して、資料の作成・相手探し・交渉・契約へ進む

同じページには、次のことも書かれています。

  • 支援を希望する仲介機関がいない場合や、条件が折り合わない場合など、支援ができないこともある
  • 複数の仲介機関が支援を希望しても、そのうち1社と専任の契約を結ぶ
  • 手数料は仲介機関によって違う。目安は、着手金が30〜50万円(消費税別)程度、成約の報酬は譲渡の金額などに応じて変わり、最低の成約報酬は300〜500万円(消費税別)程度

相手がもう決まっている場合の支援もあります。愛知のセンターの「マッチング支援」のページによると、取引先や知り合いなど、社長が自分で相手を見つけている場合に、手続きや契約書の作成についての助言を行い、センターに登録している外部の専門家(弁護士など)に、原則2回まで無料で相談できます。契約書の作成や細かな株価の計算など、具体的な実務を頼む場合は、費用がかかるとしています。

愛知のセンターの「第三者承継(M&A)」のページには、よくある相談への答えも載っています(2026年10月12日に確認)。

  • センターでどこまで相談できるか:決算書などの書類を出すと、会社を譲れる可能性や、譲るときの想定の価格まで見てもらえる
  • 赤字や債務超過の会社も対象になるか:赤字や債務超過でも、買う側が自社の事業との相乗効果を求めて成約する例は少なくない
  • 仲介の契約をしてから相手が見つかるまでの期間:場合によるが、早くて6か月程度、平均では1〜2年と言われている
  • 当事者どうしで話している相手との契約書が心配:相手探しが要らない場合でも、契約書の中身の確認について、M&Aの専門家を紹介する

親族や従業員に継ぐ場合の流れも、同じ「相談」のページに載っています。電話で申し込むと、担当のエリアコーディネーターが訪問して課題を洗い出します。専門家の助言が要る場合は、申込書を出すと外部の専門家が派遣され、最後に支援の報告書を受け取ります。従業員が継ぐ場合は、今の経営者だけでなく、引き継ぐ側の従業員からの相談も受けるとしています。

東海4県の窓口

社長

私の会社は愛知です。近くの窓口はどこにありますか。

案内役

中小機構の公式の一覧で確かめた、東海4県の窓口です。電話番号や受付の時間は、各センターのサイトで確かめてください。

中小機構の「事業承継・引継ぎ支援センター」の一覧に載っている、東海4県のセンターの所在地です(2026年10月12日に確認)。

県 所在地 公式サイト
愛知県 名古屋市中区栄2-10-19 名古屋商工会議所ビル6階。豊橋サテライトオフィスは、豊橋市花田町字石塚42-1 豊橋商工会議所2階 愛知県事業承継・引継ぎ支援センター
岐阜県 岐阜市神田町2-2 岐阜商工会議所3階 岐阜県事業承継・引継ぎ支援センター
三重県 津市栄町1丁目891 三重県合同ビル5階 三重県事業承継・引継ぎ支援センター
静岡県 静岡市葵区紺屋町11-4 太陽生命静岡ビル7階 静岡県事業承継・引継ぎ支援センター

愛知のセンターのサイトには、県内の市役所や商工会議所などで開く個別相談会の予定も載っています。2026年10月の予定には、豊橋・岡崎・一宮・半田などの会場がありました。

ほかの都道府県のセンターは、中小機構の一覧で確かめられます。

国の登録データ(2026年10月12日取得)で、本店が東海4県にある登録機関を数えると、次のとおりでした。

県 登録機関 うち仲介の業務あり
愛知県 169 158
岐阜県 37 36
三重県 17 17
静岡県 55 51

県ごとの仲介会社の届出は、愛知・岐阜・三重・静岡のページで見られます。

民間の仲介会社との違い

社長

センターと仲介会社では、どちらに相談したらいいのでしょう。

案内役

このサイトは、どちらがよいとは言いません。公式の資料と国のデータで分かる違いだけを、並べてみます。

比べること 事業承継・引継ぎ支援センター 国に登録した仲介会社
どんな所か 国が設置する公的な相談窓口(国の委託事業) 民間の会社や事務所など。登録は、支援の品質を保証するものではない
数 47都道府県に置かれ、一覧には48か所 登録3,362機関、うち仲介の業務あり2,978機関
相談の費用 無料。紹介された民間の支援機関の支援は有償 機関ごとに届出。着手金ありと届け出た機関は、仲介の2,978機関のうち1,240機関
相手探し センターの情報からの紹介、登録した民間の支援機関へのつなぎ、後継者人材バンク 各機関が行う。業務の範囲は、契約の前に書面で説明することになっている
扱う相談 親族への承継・従業員への承継・第三者への引継ぎ 仲介やFAとしてのM&Aの支援

登録機関の数と着手金の数は、国の登録支援機関データベース(2026年10月12日取得)で数えました。「登録は支援の品質を保証するものではない」は、国の公募要領(令和8年度)に書かれていることです。

センターと国に登録した仲介会社は、次の点でつながっています。

  • 国に登録する会社は、秘密保持の条項の中身にかかわらず、売り手が事業承継・引継ぎ支援センターなどに相談することを制約しないことが、登録の条件です(公募要領 令和8年度 7ページ)
  • 2025年4月1日から、センターの橋渡し先になる民間の支援機関は、国の登録が前提になりました
  • 中小企業庁は2024年10月から2025年3月にかけて、不適切な買い手とのM&Aを支援した登録機関に注意を出し、対策が取られるまで、センターとの連携を止めました。くわしくは不適切な買い手から会社を守るにはにまとめました

仲介会社の手数料の決まり方は、手数料の記事で説明しています。

このサイトの「相談する」とセンター

社長

このサイトにも「相談する」のページがありますね。センターとは別のものですか。

案内役

別のものです。このサイトの相談の受け付けは準備中で、今は、無料の公的窓口としてセンターを案内しています。

このサイトの相談のページでは、今は、事業承継・引継ぎ支援センターをご案内しています。仲介会社への相談の受け付けを始めたあとも、同じ画面でいつもセンターを案内します。

このサイトは、国の登録データで仲介会社の手数料を比べる場所です。センターへの相談とあわせて、通信簿と手取りの計算機で、各機関の届出を見られます。センターのことは用語集にも載せています。

センターから仲介機関を紹介されたときも、届出の手数料は計算機で確かめられます。譲渡額5,000万円で計算する

よくある質問

社長 相談は、本当に無料ですか?
案内役

中小機構のポータルに「無料で相談に対応」と書かれています。センターから紹介された民間の支援機関の支援は有償です。愛知のセンターでは、外部の専門家への相談は原則2回まで無料で、契約書の作成などの具体的な実務を頼むと費用がかかると書かれています。

社長 仲介会社と契約したあとでも、相談できますか?
案内役

中小機構のポータルは、民間機関を使ってM&Aを進めるときのセカンドオピニオンとしても使えるとしています。国に登録した仲介会社は、秘密保持の条項にかかわらず、センターへの相談を制約しないことが登録の条件です。

社長 どこのセンターに相談すればいいですか?
案内役

中小機構の一覧で、各都道府県のセンターの所在地と連絡先を確かめられます。ポータルは、全国のセンターと情報を共有していて、離れた地域どうしの相手探しにも対応できるとしています。

社長 相談したことが、外にもれないか心配です。
案内役

中小企業庁のチラシは、センターについて「秘密厳守で相談を承ります」と書いています。愛知のセンターは、秘密を守るため、相談の時間が重ならないようにしているとしています。

社長 後継者人材バンクとは何ですか?
案内役

起業を目指す人と、後継者のいない会社や個人事業主を引き合わせる事業です。愛知のセンターは、従業員としての雇用のあっせんではないこと、引き合わせまで長くかかったり、希望に合う引き合わせができなかったりする場合があることも書いています。

社長

仲介会社に会う前に、まず県のセンターで話を聞いてみます。手数料の届出も、あわせて見ておきます。

案内役

センターの相談は無料です。センターで聞いたことと、国のデータの届出を並べると、仲介会社に聞くことも整理しやすくなります。

このデータについて

  • 出典:M&A支援機関登録制度HP 登録支援機関データベースを加工して作成(取得日 2026年10月12日)。データは各機関の届出(自己申告)です
  • 登録機関の数は、2026年10月12日に取得した3,362機関で数えました。着手金の数は、仲介の業務がある2,978機関の、売り手側の届出です。本店の都道府県は、届出の本店所在地です
  • センターの支援の中身・所在地・相談の流れは、中小機構と各センターの公式サイトを2026年10月12日に確かめたものです。変わることがあるので、相談の前に各センターのサイトで確かめてください
  • 当サイトは、仲介や交渉、価格や税についての助言は行いません

出典