社長
愛知で製造業の会社を経営しています。会社を売る相談先を調べると、東京の会社ばかりが目に入ります。東海には、国に登録した仲介の機関がどのくらいあるのでしょう。
案内役
国の登録データ(2026年10月12日取得)から、愛知・岐阜・三重・静岡の4県を数え直しました。機関の数と種類、県の外から支援に来る機関、手数料の届出を、全国と並べます。どの県・どの機関がよいかは決めず、機関の名前も挙げません。
先に結論
- 国の登録機関3,362のうち、本店が東海4県にあるのは278機関(8.3%)です。愛知県169・岐阜県37・三重県17・静岡県55で、仲介の業務があるのは合わせて262機関でした
- 支援する県に「全国」と届け出た2,178機関を含めると、4県とも2,300を超える機関が、その県を支援先に挙げています。全国ではなく県の名前を挙げた機関は、県ごとに151〜222機関です
- 仲介の売り手側の最低手数料の中央値は、愛知県250万円(135機関)・岐阜県200万円(31機関)・三重県275万円(16機関)・静岡県500万円(48機関)でした。全国は300万円(2,506機関)です
- 着手金があると届け出た機関の割合は、4県を合わせて55.0%で、全国の41.6%より高めでした
- 県の中央値は、機関が少ないとぶれやすく、譲渡額によって並びも変わります。県の値で決めず、自分の会社の金額で、一つひとつの機関の届出を確かめてください
- 自分の会社の金額では、譲渡額3,000万円で全機関の手数料を計算するのように、金額を変えて計算できます
本店がある機関の数
社長
まず、それぞれの県に本店がある機関は、いくつありますか。
案内役
4県で278機関です。そのうち6割が愛知県で、どの県もほとんどの機関が仲介の業務を届け出ています。
国の登録データで、本店の都道府県ごとに数えました。
| 県 | 本店がある機関 | うち仲介の業務あり | うち個人の登録 |
|---|---|---|---|
| 愛知県 | 169 | 158 | 33 |
| 岐阜県 | 37 | 36 | 13 |
| 三重県 | 17 | 17 | 2 |
| 静岡県 | 55 | 51 | 10 |
| 4県の合計 | 278 | 262 | 58 |
| 全国 | 3,362 | 2,978 | 772 |
仲介の業務がある割合は、4県の合計で94.2%、全国では88.6%でした。残りは、FA(売り手か買い手の一方だけを支援する形)の業務だけを届け出た機関です。仲介とFAの違いはM&Aの仲介とFAの違いにまとめています。
本店の数を都道府県で見ると、東京都が1,301、大阪府が368、福岡県が171で、愛知県の169はこれに続く数です。
本店の住所で市町を見ると、愛知県は169機関のうち123機関(73%)が名古屋市で、ほかに一宮市・春日井市・豊田市などがあり、名古屋市を含めて21の市町に分かれていました。岐阜県は岐阜市12・高山市7・大垣市5、三重県は四日市市8・桑名市4・津市2、静岡県は静岡市20・浜松市12・沼津市5です。
県ごとの機関の一覧は、愛知県・岐阜県・三重県・静岡県のページで見られます。名前を押すと、その機関の届出をまとめた通信簿が開きます。
どんな種類の機関があるか
社長
「機関」というのは、M&Aの専門の会社のことですか。
案内役
専門の会社のほかに、税理士などの士業、経営コンサル、銀行や信用金庫も登録しています。東海4県は、全国より金融機関の割合が高めでした。
国のデータベースには、1つの機関に1つ「M&A支援機関の種類」が載っています。その届出を、大きな分け方で数えました。
| 県 | 士業等専門家 | M&A専門業者 | 金融機関 |
|---|---|---|---|
| 愛知県 | 66(39.1%) | 46(27.2%) | 11(6.5%) |
| 岐阜県 | 17(45.9%) | 7(18.9%) | 7(18.9%) |
| 三重県 | 3(17.6%) | 3(17.6%) | 4(23.5%) |
| 静岡県 | 19(34.5%) | 10(18.2%) | 11(20.0%) |
| 4県の合計 | 105(37.8%) | 66(23.7%) | 33(11.9%) |
| 全国 | 1,274(37.9%) | 1,156(34.4%) | 205(6.1%) |
表のほかは、経営コンサル(愛知県37・岐阜県6・三重県7・静岡県14)と、その他(M&Aプラットフォーマーなど。愛知県9・静岡県1)です。三重県は、17機関のうち7機関が経営コンサルでした。
くわしい種類で見ると、4県の士業等専門家105機関は、税理士51・公認会計士22・中小企業診断士20などです。愛知県では税理士が38機関で、県の中でいちばん多い種類でした。
金融機関33機関の内訳は、信用金庫・信用組合23・地方銀行7・証券会社1・その他2です。全国で信用金庫・信用組合と届け出た102機関のうち、23機関の本店が東海4県にありました。M&A専門業者の割合は、4県の合計で23.7%と、全国の34.4%より低くなっています。通信簿の一覧では、本店の県と機関の種類を組み合わせて絞り込めます。
県の外から支援に来る機関
社長
本店が県の外にある機関にも、頼めるのですか。
案内役
各機関は、支援する都道府県を届け出ています。「全国」と届け出た機関が多いので、県の外から支援に来る機関は、県の中の機関よりずっと多くなります。
「支援業務提供都道府県」に、その県の名前か「全国」がある機関を数えました。本店がその県の機関も含みます。
| 県 | その県を支援先に含む機関 | そのうち県の名前を挙げた機関 | そのうち本店が県の外の機関 |
|---|---|---|---|
| 愛知県 | 2,400 | 222 | 2,231 |
| 岐阜県 | 2,336 | 158 | 2,299 |
| 三重県 | 2,329 | 151 | 2,312 |
| 静岡県 | 2,352 | 174 | 2,297 |
支援先を「全国」と届け出た機関は、全国で2,178(64.8%)あります。どの県でも、支援先に含む機関の9割を超えるのが、この「全国」の機関です。仲介の業務がある機関に限ると、愛知県を支援先に含む機関は2,171でした。
県の名前をはっきり挙げた機関の本店も数えました。愛知県の名前を挙げた222機関は、本店が愛知県の69機関のほか、東京都28・大阪府22・岐阜県19・静岡県12などです。岐阜県・三重県・静岡県の名前を挙げた機関では、本店が愛知県の機関が最も多く、それぞれ59・57・46機関でした。
本店が4県にある機関のうち、支援先を「全国」と届け出たのは、愛知県59.2%・岐阜県35.1%・三重県52.9%・静岡県34.5%です(全国では64.8%)。静岡県では、55機関のうち19機関が、支援先を静岡県だけと届け出ていました。
支援先も各機関の自己申告です。県の外の機関に頼むときは、面談の場所や進め方を、契約の前に聞いておけます。愛知県を支援先に含む仲介の機関のように、通信簿の一覧では支援先の県で絞り込めます。
最低手数料と着手金
社長
地元の機関のほうが、手数料は安いのでしょうか。
案内役
県によって違い、ひとことでは言えません。仲介の売り手側の届出で、最低手数料と着手金を並べます。
最低手数料は、料率で計算した額が小さくても、これより下にはならない手数料の下限です。本店がその県にある仲介の機関の届出を数えました(税抜・届出のまま)。
| 県 | 最低手数料の中央値(届出の数) | 1,000万円以上の機関 | 着手金ありの割合(仲介の機関の数) |
|---|---|---|---|
| 愛知県 | 250万円(135) | 30(22.2%) | 53.8%(158) |
| 岐阜県 | 200万円(31) | 5(16.1%) | 72.2%(36) |
| 三重県 | 275万円(16) | 2(12.5%) | 64.7%(17) |
| 静岡県 | 500万円(48) | 5(10.4%) | 43.1%(51) |
| 4県の合計 | 300万円(230) | 42(18.3%) | 55.0%(262) |
| 全国 | 300万円(2,506) | 554(22.1%) | 41.6%(2,978) |
三重県の275万円は、真ん中の2機関の届出(250万円と300万円)の間の値です。静岡県は、48機関のうち25機関が500万円以上でした。
同じ県の中でも差は大きく、届出の最低手数料は、愛知県で30万〜2,000万円、岐阜県で20万〜2,000万円、三重県で50万〜1,000万円、静岡県で50万〜2,500万円に分かれていました。
着手金は、契約したときに払うお金で、成約しなくても戻らないことがあります。4県で着手金があると届け出た144機関のうち、94機関は「成功報酬に含まない」(成功報酬とは別に払う)と届け出ていました。全国では、着手金のある1,240機関のうち697機関です。払う時期や扱いはM&Aの着手金・中間金・月額報酬とは?にまとめています。
譲渡額3,000万円と1億円で計算すると
社長
最低手数料の中央値が低い県なら、払う手数料も少ないということですか。
案内役
そうとは限りません。手数料は、料率・基準となる金額・最低手数料・成功報酬とは別の着手金などが合わさって決まるからです。このサイトの計算機と同じ条件で計算しました。
本店がその県にある仲介の機関の届出で、手数料(税込)を計算した中央値です。かっこの中は、譲渡額に対する割合です。
| 県 | 計算できた機関 | 譲渡額3,000万円 | 譲渡額1億円 |
|---|---|---|---|
| 愛知県 | 135 | 385万円(12.8%) | 825万円(8.3%) |
| 岐阜県 | 33 | 292万円(9.7%) | 660万円(6.6%) |
| 三重県 | 15 | 385万円(12.8%) | 605万円(6.0%) |
| 静岡県 | 42 | 550万円(18.3%) | 605万円(6.0%) |
| 4県の合計 | 225 | 385万円(12.8%) | 660万円(6.6%) |
| 全国 | 2,445 | 330万円(11.0%) | 638万円(6.4%) |
全国の1億円は、計算できた2,447機関の中央値です。
愛知県は、最低手数料の中央値(250万円)が全国より低い一方で、譲渡額3,000万円の手数料の中央値は385万円と、全国の330万円を上回りました。静岡県は、3,000万円では550万円ですが、1億円では605万円と、全国の638万円を下回ります。県の値の並びは、譲渡額によって変わります。
譲渡額3,000万円で、料率ではなく最低手数料で手数料が決まった機関の割合は、愛知県51%・岐阜県42%・三重県67%・静岡県76%で、全国は54%でした。小さな会社ほど最低手数料で決まりやすいしくみは、M&A仲介の手数料の相場にまとめています。
計算機では、県で絞って同じ計算ができます。譲渡額3,000万円で、愛知県に本店がある機関の手数料を計算すると、愛知県の機関の届出だけが並びます。県の選び方を変えれば、岐阜県・三重県・静岡県でも見られます。県の外の機関も含めるときは、譲渡額1億円で全機関の手数料を計算するをお使いください。
専従者・成約件数・情報共有の仕組み
社長
手数料のほかに、届出で比べられるものはありますか。
案内役
M&Aの支援の仕事を専らする人の数、2024年度の成約件数、不適切な買い手の情報を共有する仕組みへの加盟が、届け出られています。
本店がその県にある機関(FAだけの機関も含む)の届出です。
| 県 | 専従者の中央値(0人の機関の割合) | 2024年度の成約件数の届出あり | 情報共有の仕組みに加盟 |
|---|---|---|---|
| 愛知県 | 1人(26.6%) | 35(20.7%) | 5(3.0%) |
| 岐阜県 | 1人(24.3%) | 11(29.7%) | 2(5.4%) |
| 三重県 | 1人(29.4%) | 3(17.6%) | 0 |
| 静岡県 | 1人(25.5%) | 17(30.9%) | 0 |
| 4県の合計 | 1人(26.3%) | 66(23.7%) | 7(2.5%) |
| 全国 | 1人(24.8%) | 784(23.3%) | 116(3.5%) |
- 専従者: 4県とも中央値は1人で、全国と同じでした。専従者を0人と届け出た機関が、どの県でも4分の1ほどあります
- 成約件数: 2024年度の成約件数は「〜5件」「6〜10件」のような幅で届け出られます。「-」以外の届出があった4県の66機関のうち、55機関が「〜5件」でした。11件以上は、愛知県と静岡県に3機関ずつです。「-」が成約のなかったことを表すのかは、データベースからは分かりません
- 情報共有の仕組み: 不適切な買い手の情報を機関どうしで共有する仕組みです(中小企業庁は2025年2月に運用の決まりを公表)。4県で加盟と届け出たのは7機関でした
加盟していないことだけで、その機関の買い手の調べ方が分かるわけではありません。買い手をどう調べるかは、契約の前に各機関に聞けます。仕組みのことは、不適切な買い手から会社を守るにはと、用語集の不適切な譲り受け側の情報共有の仕組みにあります。
国に報告されたM&Aの件数
社長
東海では、実際にどのくらいM&Aが行われているのですか。
案内役
登録機関が国に報告した件数は、国の集計のページで県を選んで見られます。すべてのM&Aではなく、登録機関が支援した案件だけです。
国の「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」で、絞り込みの条件を「都道府県」にして各県を選んだときの、譲渡側の件数です(2026年10月14日に確認)。
| 県 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 |
|---|---|---|---|
| 愛知県 | 247 | 283 | 271 |
| 岐阜県 | 47 | 74 | 76 |
| 三重県 | 42 | 54 | 50 |
| 静岡県 | 124 | 159 | 167 |
| 全国 | 4,036 | 4,681 | 4,940 |
2024年度の4県の合計は564件で、全国の11.4%でした。564件のうち仲介の支援が469件(83.2%)、FAが95件で、全国の仲介の割合(81.5%)と近い値です。
集計の対象は、登録機関が仲介やFAの契約を結び、最終契約に至った中小M&A(資本金1億円以下の法人か個人事業主が当事者)です。ページは、すべての案件を網羅していないことに注意を求めています。絞り込みの「都道府県」が何の所在地かは、ページに説明がありませんでした。
よくある質問
社長
中央値が低い県の機関に頼めば、手数料は安くなりますか?
案内役
そうとは限りません。県の中央値は、その県に本店がある機関の届出の真ん中の値で、一つひとつの機関の手数料は大きく違います。手数料は、料率・基準となる金額・最低手数料・着手金などの組み合わせで決まります。自分の会社の金額で、各機関の届出を確かめてください。
社長
本店が東京の機関に、東海の会社の相談はできますか?
案内役
支援先に「全国」か東海の県を届け出た機関は、どの県でも2,300を超えます。ただし、支援先は各機関の自己申告です。面談の場所や進め方は、それぞれの機関に確かめてください。
社長
このデータに載っていない仲介会社もありますか?
案内役
あります。国のよくあるご質問は、この制度を、登録しないと仲介やFAの仕事ができない「許認可制度ではありません」としています。このデータは、登録した機関だけを数えたものです。なお、事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)で仲介やFAの手数料が補助の対象になるのは、登録機関の支援だけです。制度のことはM&A支援機関登録制度とはにまとめています。
社長
東海4県に、無料の相談窓口はありますか?
案内役
4県とも、国の事業承継・引継ぎ支援センターがあります。中小機構の一覧(2026年10月14日に確認)では、名古屋市・岐阜市・津市・静岡市にあり、愛知県は豊橋市にもサテライトオフィスがあります。センターへの相談は無料で、紹介された登録機関などに頼むと有料です(中小M&Aガイドライン66ページ)。くわしくは事業承継・引継ぎ支援センターとはにまとめています。
社長
この記事の数字は、いつのものですか?
案内役
国のデータベースを2026年10月12日に取得して数えました。登録の追加や抹消、届出の変更で、数字は変わります。最新の届出は、通信簿の各機関のページか、国のデータベースで確かめてください。
社長
愛知の機関だけで考えていましたが、県の外から来る機関も多いのですね。まず自分の会社の金額で、届出を見比べてみます。
案内役
県の数字は、地域の全体をつかむための材料です。気になる機関が見つかったら、通信簿で届出を見てから、契約の前に書面で確かめてください。
このデータについて
- 使った資料: M&A支援機関登録制度HP 登録支援機関データベースを加工して作成しました(取得日 2026年10月12日・3,362機関)。届出は各機関の自己申告で、実際と異なる場合があります。登録していない機関は入っていません
- 本店: 「本店都道府県」の列で数えました。市町は「本店所在地」の住所から切り出しました(個人の登録も数に入れ、住所は載せていません)
- 仲介の業務あり: 「仲介業務」が「有」の機関です
- 支援先に含む: 「支援業務提供都道府県」が「全国」か、その県の名前を含む機関で、本店がその県の機関も含めました。県のページの「ほかの県からこの県を支援」は、本店がその県の機関を除いた数(愛知県なら2,231)です
- 種類: 「M&A支援機関の種類」の届出の、「 - 」より前の大きな分け方です(例:「士業等専門家 - 税理士」は士業等専門家)。M&Aプラットフォーマーと商工団体は「その他」に入れました
- 最低手数料: 仲介の売り手側の最低手数料(税抜)を、仲介の業務がある機関で数えました。届出のない機関は数に入れていません。全国の中央値は、入力の誤りとみられる10億円以上の3件を除いた2,506機関の値です。東海4県には10億円以上の届出はありませんでした。中央値は、数が偶数のときは真ん中の2つの平均です。県のページの「最低手数料の真ん中の値」は真ん中の2つの低いほうを出すため、三重県は250万円と表示されます
- 着手金: 仲介の売り手側の手数料の詳細で、着手金が「有」の機関を、仲介の業務がある機関の数で割りました
- 計算: 計算機と同じ計算のしかたで、負債の合計は譲渡額の半分、有利子負債は2割、現預金は1割、役員借入金はなしとした仮の会社で計算した試算です。税込で、成功報酬に含まない着手金・中間金を足し、月額報酬は足していません。定額やその他の決め方の機関、計算できない届出、手数料が譲渡額を上回る機関は入れていません。中央値は県のページと同じ数え方です
- 専従者・成約件数・加盟: 「専従者数」「2024年度の中小M&A成約実績数」「不適切な譲り受け側に係る情報共有の仕組みへの加盟有無」の届出です。成約件数は「-」以外の届出を数えました
- 国に報告された件数: 国の集計結果のページで、年度と都道府県を選んで、2026年10月14日に確かめました
- このサイトは、特定の機関や県をすすめず、機関の名前も挙げていません。順位もつけていません。仲介や交渉、価格や税についての助言は行いません
