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手数料

M&Aの着手金・中間金・月額報酬とは?払う時期と、成約しなかったときの扱い

M&A仲介の成功報酬のほかにかかる着手金・中間金・月額報酬を、払う時期、成功報酬に含むかどうか、成約しなかったときの扱いの順に説明します。国の登録データで数えた機関の数と金額の中央値も載せました。

書いた人

M&A仲介の通信簿 編集部

国の「M&A支援機関登録制度」の届出を毎月取り込み、仲介会社の手数料を同じ条件で計算して載せています。記事は中小企業庁のガイドラインなど公的な資料にもとづいて書き、仲介や交渉、価格や税の助言はしません。

時間の順に並ぶ3つの封筒と契約書・砂時計が置かれた机と、封筒を確かめる社長のアイソメトリックのイラスト
社長

仲介会社から「契約のときに着手金がかかります」と言われました。成功報酬とは別のお金なのでしょうか。買い手が見つからなかったら、戻ってくるのでしょうか。

案内役

別かどうかも、戻るかどうかも、機関と契約によって違います。国の登録データと中小M&Aガイドラインで、払う時期、合計の変わり方、成約しなかったときの順に確かめていきましょう。

先に結論

  • 着手金は主に契約したとき、中間金は主に基本合意のとき、月額報酬は毎月払うお金です。成功報酬に含むのか、成功報酬とは別なのかは、機関ごとに違います
  • 国の登録データでは、仲介の2,978機関のうち、着手金ありが1,240機関(41.6%)、中間金ありが889機関(29.9%)、月額報酬ありが303機関(10.2%)でした。届け出られた金額の中央値は、着手金50万円、中間金50万円、月額報酬10万円(いずれも税抜)です
  • 成約しなかったときに、払ったお金が戻るかどうかは契約で決まります。国の重要事項説明書のひな形にも、着手金・月額報酬・中間金ごとに「返還」を書く欄があります
  • 中小M&Aガイドライン(第3版)は、手数料の算定基準や支払時期を、契約の前に書面で説明することを仲介者・FAに求めています。署名の前に、書面で確かめてください
  • 着手金・中間金を足した手数料は、計算機で機関ごとに見られます:譲渡額5,000万円で計算する

成功報酬のほかにかかる3つのお金

社長

着手金、中間金、月額報酬は、それぞれ何のお金ですか。

案内役

払う時期で分けると分かりやすくなります。どれも、請求する機関と請求しない機関に分かれます。

中小M&Aガイドライン(第3版・2024年8月)は、仲介者・FAの手数料を次のように整理しています(第1章Ⅴ1)。あわせて、国のデータベースで、仲介の売り手側に「あり」と届け出ている機関の数を載せました(2026年10月12日取得。仲介の業務がある2,978機関のうち)。

お金の名前 主に払う時期 ガイドラインでの説明 「あり」と届け出た機関
着手金 仲介契約・FA契約を結んだとき 契約のときに発生する手数料 1,240(41.6%)
中間金 基本合意のときなど、成約の前の時点 マイルストーンフィーとも呼ばれる 889(29.9%)
月額報酬 毎月 定額顧問料、リテーナーフィーとも呼ばれる 303(10.2%)
成功報酬 クロージング(成約の決済)のときなど 手数料の中心。基準となる金額に料率を掛けるものが多い 2,949(99.0%)

このほか、作業の時間に応じて払うタイムチャージを届け出ている機関も142(4.8%)ありました。ガイドラインは、仲介者・FAの手数料には一般的な法規制がなく、どんな料金体系にするかは各仲介者・FAによる、と書いています。交通費などの実費を別に請求されることもあります。

中間金を払う時点は、届出では「基本合意締結時」が806機関で、中間金ありの90.7%でした。ほかに「意向表明書提出時」が38機関、「最終契約締結時」が11機関、「トップ面談終了時」が4機関、「その他」が30機関です。

「成功報酬に含む」か「含まない」かで合計が変わる

着手金などを成功報酬に含むと先に払った分を差し引き、含まないと成功報酬とは別に足すことを示した図
社長

「成功報酬に含む」とは、どういう意味ですか。

案内役

先に払ったお金を、成約のときの成功報酬から差し引く形です。「含まない」なら、成功報酬とは別に足して払います。

ガイドラインは、着手金と月額報酬は「成功報酬に含まれる(成功報酬の内金となる)ものとすることもある」、中間金は成功報酬に含まれるものとすることが「多い」と書いています。国の届出でも、機関によって扱いが分かれていました。

お金の名前 成功報酬に含む 成功報酬に含まない
着手金 543 697
中間金 653 236
月額報酬 115 188
タイムチャージ 63 79

着手金は「含まない」の方が多く、中間金は「含む」の方が多い結果でした。同じ着手金100万円でも、扱いで合計は変わります。成功報酬が500万円(税抜)の場合で比べると、次のとおりです。

着手金の扱い 契約のときに払う額 成約のときに払う額 手数料の合計(税抜)
成功報酬に含む 100万円 400万円 500万円
成功報酬に含まない 100万円 500万円 600万円

ガイドラインにも、実際の計算例が載っています(第1章Ⅴ3)。消費税は10%として計算されています。

  • 事例1:譲渡額1億円の株式譲渡。着手金100万円は成功報酬とは別。成功報酬は譲渡額を基準にしたレーマン方式(最低手数料500万円・税抜)。手数料の総額は、着手金110万円と成功報酬550万円を足した660万円(税込)です
  • 事例2:譲渡額5億円の株式譲渡で、負債も5億円。中間金50万円は成功報酬に含む。成功報酬は移動総資産10億円を基準にしたレーマン方式。成功報酬4,950万円(税込)から、先に払った中間金55万円を差し引いて、成約のときに4,895万円を払います。総額は4,950万円(税込)です
  • 事例3:譲渡額3,000万円の事業譲渡。着手金50万円と月額報酬10万円はどちらも成功報酬とは別。業務は4か月。成功報酬は譲渡額の4%で計算すると132万円(税込)ですが、最低手数料300万円(税抜)の方が大きいので330万円(税込)。総額は、着手金55万円、月額報酬44万円とあわせて429万円(税込)です

成功報酬そのものの計算のしかたは、レーマン方式の計算のしかたにまとめています。

国の届出で見る金額

社長

着手金や中間金は、いくらくらいが多いのですか。

案内役

金額まで届け出ている機関で数えると、真ん中の値は着手金と中間金が50万円、月額報酬が10万円でした。ただ、「あり」と届け出ても金額を書いていない機関もあります。

仲介の売り手側で、金額を届け出ている機関の分布です(税抜。2026年10月12日取得)。

お金の名前 金額を届け出た機関 中央値 真ん中の半分の範囲
着手金 955 50万円 20万〜80万円
中間金 530 50万円 20万〜100万円
月額報酬 221 10万円 7万〜25万円

「真ん中の半分の範囲」は、安い方から4分の1の位置から、4分の3の位置までの値です。届出で多い金額は、着手金が50万円(262機関)、100万円(200機関)、30万円(147機関)、10万円(142機関)、中間金が100万円(126機関)、20万円(124機関)、50万円(107機関)、月額報酬が10万円(76機関)、5万円(33機関)でした。いちばん高い届出は、着手金が500万円、中間金が1,000万円、月額報酬が200万円です。

月額報酬は、払う月の数で合計が変わります。月10万円で12か月なら、120万円(税抜)です。ガイドラインも、月額報酬は定期的に生じる手数料なので、契約期間を確認しておく必要があると書いています。

一方で、着手金・中間金・月額報酬・タイムチャージのどれも「なし」と届け出た機関は1,162で、手数料の詳細がある2,973機関の39.1%でした。成功報酬だけを請求する形は、ガイドラインでは「完全成功報酬型」と呼ばれています。

実際の成約では、約半分が成約の前にも払っている

社長

実際に会社を売った人は、成約の前にもお金を払っているのですか。

案内役

国の集計では、2024年度の売り手側の案件のおよそ半分で、成約の前に報酬の一部が払われていました。

M&A支援機関登録制度HPの「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」は、登録機関が支援して最終契約に至った案件の報告をもとにしています。2024年度の株式譲渡の売り手側で、報酬の内訳が分かる3,245件の内訳は次のとおりです(2026年10月12日に確認)。

  • 最終契約のときに成功報酬だけを受け取った:1,616件(49.8%)
  • 最終契約の前に、着手金・中間金・その他の報酬として一部を受け取った:1,629件(50.2%)

買い手側では、3,280件のうち2,108件(64.3%)で、最終契約の前に報酬の一部が払われていました。国の解説は、どちらの場合も報酬の大部分は成功報酬として受け取られている、と書いています。

この集計は、成約した案件だけが対象です。国の注記には、成約しないまま着手金や中間金だけが払われたケースも多数あるものの、その金額や件数は今回の報告では明らかになっていない、と書かれています。

成約しなかったときの扱いは契約で決まる

署名の前に、社長が自宅で契約書をていねいに読んでいる場面
社長

もし買い手が見つからなかったら、払った着手金は戻りますか。

案内役

戻るかどうかは、契約の書き方で決まります。国が示している説明書のひな形にも、そのための欄があります。

中小M&Aガイドラインの参考資料11「M&A仲介契約/FA契約 重要事項説明書サンプル」には、着手金・月額報酬・中間金のそれぞれに、金額、支払条件、支払時期、支払方法と並んで「返還」の欄があります。欄の注には、「M&Aが成立しなかった場合であっても、支払った着手金・月額報酬・中間金が返還されないことが合意される場合があり、それを記載するもの」と書かれています。

成約しなかったときに関わる約束は、返還のほかにもあります。

  • 月額報酬を、いつまで払い続けるのか(契約期間と更新)
  • 途中で契約をやめられるか(中途解約)
  • 契約が終わったあとでも、手数料を請求できるとする約束(テール条項)があるか

専任条項や直接交渉の制限など、契約書のほかの確認点は契約の前に確かめることにまとめています。

ガイドラインが手数料の説明に求めていること

社長

仲介会社は、手数料をどこまで説明してくれるのですか。

案内役

中小M&Aガイドラインは、契約の前に書面を渡して説明することを求めています。説明する項目も決められています。

中小M&Aガイドライン(第3版)第2章Ⅱ4(2)は、仲介者・FAに、契約の前に重要な事項を書いた書面を渡して(メールなどを含む)説明することを求めています。説明は、契約を結ぶ権限のある人(法人なら代表者など)に行い、説明のあとは十分な検討時間を与えるとしています。手数料について説明する項目は、次のとおりです。

  • 手数料に関する事項(算定基準、金額、最低手数料、既に支払を受けた手数料の控除、支払時期など)
  • 手数料以外に依頼者が払う費用(費用の種類、支払時期など)
  • 仲介者の場合は、相手方の手数料に関する事項(算定基準、最低手数料、支払時期など)

「既に支払を受けた手数料の控除」は、たとえば先に払った着手金を成功報酬から差し引くかどうかです。ガイドラインはさらに、報酬率、報酬基準額、最低手数料の額、報酬の発生タイミング(着手金・月額報酬・中間金・成功報酬)を書面で説明しなければならないとし、手数料の算定基準を自社のホームページなどで公表することが望ましい、としています。

中小企業庁のチラシ「M&A支援機関の選定・契約時に確認すべき事項」も、「報酬率の他、最低手数料、報酬を算定する基準額(譲渡額、総資産額等)や発生タイミングを確認することも重要です」と書いています。手数料に疑問があるときは、事業承継・引継ぎ支援センターや士業等専門家への相談(セカンド・オピニオン)も有効だとしています。センターについては公的な相談窓口にまとめています。

契約の前に、次のことを書面で確かめてください。

  1. 着手金・中間金・月額報酬・タイムチャージの有無と金額
  2. それぞれを払う時期(中間金は、どの時点で払うのか)
  3. 成功報酬に含むのか、別なのか(先に払った分を差し引くか)
  4. 成約しなかったときに戻るか(返還の条件)
  5. 月額報酬の期間、中途解約、テール条項
  6. 手数料のほかに払う実費(交通費など)

成功報酬とは別の着手金・中間金があるかで、合計は変わります。譲渡額1億円で計算すると、「成功報酬に含まない」と届け出た着手金・中間金を足した額で並びます。

よくある質問

社長 着手金がない機関は、どのくらいありますか?
案内役

国の登録データでは、仲介の2,978機関のうち、着手金なしと届け出たのは1,733機関でした。着手金・中間金・月額報酬・タイムチャージのどれもない機関は1,162機関です。届出は各機関の自己申告なので、実際の条件は契約書で確かめてください。

社長 中間金は、いつ払うことが多いですか?
案内役

国の届出では、中間金ありの889機関のうち806機関が「基本合意締結時」でした。基本合意は、買い手を1社に絞って交渉を進めると決めたときに結ぶ書面です。払う時点は機関ごとに違うので、契約書で確かめてください。

社長 月額報酬は、成約まで払い続けるのですか?
案内役

払う期間は契約で決まります。中小M&Aガイドラインは、月額報酬は定期的に生じる手数料なので、契約期間を確認しておく必要があると書いています。月10万円なら、12か月で120万円(税抜)です。

社長 買い手も着手金を払うのですか?
案内役

仲介では、買い手からも手数料を受け取ることが通常です。国の届出では、仲介の2,978機関のうち、買い手側にも着手金ありと届け出たのは1,190機関、中間金ありは1,073機関でした。仲介とFAの違いは仲介とFAの違いにまとめています。

社長

着手金は小さな額だと思っていましたが、成功報酬に含むかどうかや、戻るかどうかで話が変わるのですね。

案内役

そのとおりです。払う時期、成功報酬との関係、返還の条件の3つを、署名の前に書面で確かめてください。気になる機関の届出は、通信簿で見られます。

このデータについて

  • 出典:M&A支援機関登録制度HP 登録支援機関データベースを加工して作成(取得日 2026年10月12日)。データは各機関の届出(自己申告)で、仲介の売り手側の届出を数えています
  • 金額の分布は、金額を届け出た機関だけで数えました。入力の誤りの可能性がある1億円以上の届出(着手金2件、中間金1件)は除いています
  • 成約の前に払われた報酬の割合は、M&A支援機関登録制度HP「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」の2024年度の値です(2026年10月12日に確認)。すべてのM&Aを網羅したものではありません
  • この記事の計算例は試算です。実際の手数料は機関や案件によって変わります。正式な金額は、必ず各機関に確かめてください。当サイトは仲介や交渉、価格や税についての助言は行いません

出典