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公的な支援

会社を売る相談はどこにする?|M&A・事業承継の相談先の違い(公的窓口・銀行・税理士・仲介会社・FA・マッチングサイト)

会社を売る相談は、国の事業承継・引継ぎ支援センター、商工会議所、顧問の税理士、銀行、仲介会社・FA、マッチングサイトなどにできます。国の中小M&Aガイドラインに書かれた役割と費用のかかり方、無料の公的窓口、相談の前に用意する書類、国に登録した機関の種類ごとの届出をまとめました。

書いた人

M&A仲介の通信簿 編集部

国の「M&A支援機関登録制度」の届出を毎月取り込み、仲介会社の手数料を同じ条件で計算して載せています。記事は中小企業庁のガイドラインなど公的な資料にもとづいて書き、仲介や交渉、価格や税の助言はしません。

十字路に立つ社長と、その先に並ぶ公的な窓口・銀行・事務所・応接室・ノートパソコンを、案内役が手で示しているアイソメトリックのイラスト
社長

会社を売ることも考えはじめました。でも、最初に誰に相談すればいいのか分かりません。顧問の税理士か、取引のある銀行か、手紙をくれた仲介会社か。

案内役

国の中小M&Aガイドラインは、相談先をいくつも挙げています。どこがよいかは、このサイトでは決めません。役割とお金のかかり方を、国の資料に書かれている範囲で並べます。

先に結論

  • 国の中小M&Aガイドライン(第3版)は、社長が「まず行うべきこと」を身近な支援機関への相談とし、商工団体、税理士などの士業、金融機関、M&A専門業者(仲介会社・FA)、事業承継・引継ぎ支援センター、日本政策金融公庫を挙げています(34ページ)
  • 迷うときは、まずセンターに、とガイドラインは書いています(76ページ)。センターの相談は無料で、紹介された登録機関などに頼むと有料です(66ページ)
  • 顧問の税理士に手伝いを頼むと、顧問料とは別に報酬を払うことがあります(38ページ)
  • 国に登録した3,362機関のうち、税理士などの士業は1,274、金融機関は205です(2026年10月12日取得)。仲介の最低手数料の中央値は、士業で200万円、金融機関とM&A専門業者で500万円でした
  • 最初の相談は、直近3年分の税務申告書・決算書・勘定科目内訳明細書の写しで十分とされています(34ページ)
  • 相談の前に、手数料と手元に残る額の目安を見ておけます:譲渡額3,000万円で計算する

国のガイドラインが挙げる相談先

社長

相談先には、どんな所があるのですか。

案内役

ガイドラインは、M&Aを手伝う所をまとめて「支援機関」と呼んでいます。顧問の税理士や、取引のある金融機関も含まれます。

中小M&Aガイドライン(第3版)の34ページは、社長が一人で考えていても検討が進まないことが多く、判断を誤るおそれもあるので、「まず行うべきこと」は身近な支援機関への相談だとしています。挙げられている相談先は、次のとおりです。

  • 商工団体(商工会議所・商工会など)
  • 士業等専門家(公認会計士・税理士・中小企業診断士・弁護士など)
  • 金融機関
  • M&A専門業者(仲介会社・FA)
  • 事業承継・引継ぎ支援センター(公的機関)
  • 日本政策金融公庫(政府系の金融機関)

ガイドラインは、まず顧問の士業(特に顧問の税理士)に相談することも多いと思われるとしつつ、相談しやすければ、所属する商工団体や取引のある金融機関でもよいとしています。事業承継ガイドライン(第3版)は、インターネットで相手を探すM&Aプラットフォームも挙げ(103ページ)、経営者へのアンケートで、事業承継の相談先として税理士がいちばん多く挙がっていると書いています(126ページ)。商工団体はセンターに、センターは登録機関に、と相談先どうしでつなぐこともあります(中小M&Aガイドライン78〜79ページ)。

相談先ごとの役割と費用の早見表

社長

それぞれ、何をしてくれて、お金はかかるのですか。

案内役

国の資料に書かれている範囲で表にしました。費用の記述がない所は「記述なし」です。

相談先 主な役割(国の資料より) 費用について書かれていること 出典
事業承継・引継ぎ支援センター 公的な相談窓口。親族・社員への承継や廃業の相談も。登録機関への橋渡しや相手探し 相談は無料。紹介された登録機関などに頼むと有料 中小M&Aガイドライン60〜61・66ページ
日本政策金融公庫 譲りたい人と譲り受けたい人をつなぐ 無料。専門家の支援は費用がかかる可能性 公庫のサイト
よろず支援拠点 国が設置する経営の相談窓口。事業承継の相談も 無料 事業承継ガイドライン130〜131ページ
商工団体(商工会議所・商工会など) 地域の身近な相談窓口。センターなどへの橋渡し 記述なし 中小M&Aガイドライン17・109〜110ページ
顧問の税理士などの士業 身近な相談相手。税務・会計、価値の評価、契約書など 顧問料とは別に報酬を払うことがある 中小M&Aガイドライン38・116ページ
金融機関(銀行・信用金庫など) センターへのつなぎや、自ら仲介・FAをすることも 仲介・FAをする機関は国に届出(下の節) 中小M&Aガイドライン105〜108ページ
M&A専門業者(仲介会社・FA) 相手探しから成約まで支援 着手金・中間金・成功報酬など。形は各社による 中小M&Aガイドライン63ページ
M&Aプラットフォーム インターネットで相手を探す場 売り手は手数料がかからない場合が多い 中小M&Aガイドライン57〜59ページ

無料で相談できる公的な窓口

社長

お金をかけずに、まず話を聞ける所はありますか。

案内役

事業承継・引継ぎ支援センターの相談は無料です。ほかにも、無料と書かれている国の窓口があります。

事業承継・引継ぎ支援センター: 中小M&Aガイドライン(60〜62ページ)によると、センターは経済産業省の委託を受けた機関が行う事業で、全国48か所(東京都は2か所)にあり、地域の金融機関の出身者や、公認会計士・税理士などの専門家が常駐しています。

  • 最初の相談:親族や社員への承継、廃業の相談も受け、売るかどうか決めていない段階でも応じる
  • 登録機関などへの橋渡し:売ると決めたら、センターに登録した機関などにつなぐ。その機関と契約するので、手数料がかかる
  • センターによる支援:つなぐ先がない場合などに、センターが手続きの一部を支援する。外部の専門家を使うと費用がかかる

ガイドライン(76ページ)は、「どの窓口に相談するか迷う際には、まずこちらの窓口に相談されたい」と書いています。くわしくは事業承継・引継ぎ支援センターとはと用語集に、各都道府県の窓口は中小機構の一覧にあります。

よろず支援拠点: 事業承継ガイドライン(130〜131ページ)は、経営の課題に無料で対応する国の相談窓口として、各都道府県のよろず支援拠点を挙げ、事業承継の相談にも応じるとしています。全国本部のサイトにも「何度でも無料で対応します」とあります(2026年10月13日に確認)。

日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援: 公庫のサイト(2026年10月13日に確認)によると、事業を譲りたい人と譲り受けたい人をつなぐサービスで、売り手も買い手も無料で使えます。

  • 対象は、原則として公庫から事業資金を借りている人(返し終えて8年以内を含む)。借りていない人も、商工会議所・商工会、税理士などの紹介があれば使える
  • 交渉や契約は当事者どうしで行う。弁護士の支援を望めば、公庫が地域の弁護士会に頼んで紹介する。専門家の支援には費用がかかる可能性がある

顧問の税理士・取引のある金融機関・商工会議所

社長

知らない窓口より、顧問の税理士や、付き合いの長い銀行に話すほうが気が楽です。

案内役

ガイドラインには、それぞれの役割と、気をつける点が書かれています。

顧問の税理士: 中小M&Aガイドライン(116ページ)は、税理士を社長の身近な相談役としつつ、会社の価値の評価や買い手の調査(デュー・ディリジェンス)は、ふだんの税理士の仕事には直接含まれず、M&Aに積極的に関わる税理士は限られる、と書いています。M&Aの仕事が顧問の範囲の外になるときは、前もって説明して報酬などの了承を得ることが必要で、別の報酬が相当な場合も多いとしています。社長の側にも、顧問料とは別に報酬を払うことがあるので前もって確かめるよう、書かれています(38ページ)。税理士には、一人で抱え込まず、センターや弁護士などと連携することが期待されています(120ページ)。売ったあとの税のしくみは会社を売却したときの税金と手取りにまとめました。

ほかの士業では、公認会計士は財務の調査や価値の評価、弁護士は契約書や交渉の代理などを担うことがあります(111〜124ページ)。

取引のある金融機関: ガイドライン(105〜108ページ)は、金融機関を、融資先の財務の情報を持ち、特に地方では大切なつながりを持つ身近な相談先とし、取引先の中から相手の候補を探せることを特色に挙げています。一方で、銀行・信用金庫・信用組合などで、経験や人の体制は「全く異なって」いて、取り組み方はまちまちだとも書いています。

商工会議所・商工会: ガイドライン(109〜110ページ)は、商工団体を地域の中小企業の最も身近な相談窓口とし、センターや士業、M&A専門業者などへの橋渡しを役割に挙げています。

国に登録した機関の種類と、届出の手数料

社長

銀行や税理士に仲介まで頼んだら、手数料はどのくらいなのですか。

案内役

仲介やFAをしている銀行や税理士の多くは、国の登録制度に届け出ています。届出を種類ごとに数えました。

金融機関や士業が仲介やFAと同じ仕事をするときも、中小M&Aガイドラインが当てはまります(17〜18ページ)。国のM&A支援機関登録制度のデータベースでは、機関の種類と手数料の決め方を確かめられます(37ページ)。

国の登録データ(2026年10月12日取得)の結果です。最低手数料と着手金は、仲介の業務がある機関の、売り手側の届出です。

機関の種類(届出) 登録機関(うち仲介) 最低手数料の中央値 着手金ありの割合
M&A専門業者 1,156(1,062) 500万円 28.6%
士業等専門家 1,274(1,066) 200万円 51.5%
うち税理士 498(429) 200万円 53.1%
金融機関 205(195) 500万円 54.4%
うち地方銀行・都市銀行 75(72) 1,000万円 75.0%
うち信用金庫・信用組合 102(99) 500万円 39.4%
コンサルティング会社 644(581) 300万円 45.1%
全体 3,362(2,978) 300万円 41.6%

最低手数料は成功報酬の下限の額で、手数料の全体ではありません。料率や着手金などで、払う額は変わります。表にない種類は、M&Aプラットフォームの運営者27、その他55、商工団体1です。

顧問の税理士や取引のある銀行が国に登録しているかは、仲介会社の一覧の「名前で探す」で確かめられます。登録していない機関の手数料は、このデータでは分かりません。登録は、国が支援の質を保証するものではありません(公募要領 令和8年度)。

国の補助金(専門家活用枠)で仲介・FAへの委託費が補助されるには、登録した専門家に頼むことが条件です(16次公募のパンフレット。事業承継・M&A補助金で仲介手数料は補助される?)。各機関の手数料と手取りは、譲渡額5,000万円で計算すると並べて見られます。

仲介会社・FAに相談するとき

社長

手紙をくれた仲介会社に、話だけ聞いてみるのはどうでしょう。

案内役

話を聞くかどうかも、頼む先も、決めるのは社長ご自身です。頼む前に確かめたい点を並べます。

仲介とFAの違いは、契約の相手です。仲介者は売り手と買い手の両方と、FAはどちらか一方とだけ契約します(17〜18ページ)。違いはM&Aの仲介とFAの違いにまとめました。

ガイドライン(37ページ)は、業務の形と範囲、契約の期間、手数料の体系、実績、利用者の声などを確かめ、複数の中から比べて決めることが大切で、いわゆる「相性」も大切なことがあるとしています。手数料には一般的な法の決まりがなく、着手金・月額報酬・中間金・成功報酬のどれを設けるかは各社によります(63ページ)。国の登録データでは、着手金・中間金・月額報酬・タイムチャージのどれもない機関が1,162機関(仲介の手数料の詳細を届け出た2,973機関の39.1%)ありました。

契約の前には、業務の範囲と手数料などを書いた書面を渡して説明することが、仲介者・FAに求められています(69ページ)。比べる点はM&A仲介会社の選び方に、契約の条項はM&A仲介の契約の前に確かめることにまとめました。手紙や電話で声をかけられたときは、M&A仲介会社からDM・営業電話が来たらもご覧ください。

M&Aプラットフォーム(マッチングサイト)を使うとき

社長

インターネットで買い手を探せるサイトもあると聞きました。

案内役

ガイドラインは「M&Aプラットフォーム」と呼び、使うときの注意を書いています。このサイトでは、個別のサイトの名前は挙げません。

M&Aプラットフォームは、インターネットで売り手と買い手が出会う場を作るウェブサイトです(18ページ)。中小M&Aガイドライン(57〜59ページ)には、次のことが書かれています。

  • 今は売り手に手数料が一切かからない場合が多い。これから変わる可能性もある。仲介者・FAや士業に頼むと、その手数料・報酬は別にかかる
  • 支援は、相手と出会うまでが一般的。そのあとの合意や契約、条件の交渉は、原則として当事者が行う。センターや士業などの支援を受けながら進めることが望ましい
  • 名前を伏せた情報でも、会社が分かってしまうおそれがある。一度ネットに出た情報は消すのが難しく、公開されても困らない程度の情報だけを載せる慎重さが望まれる。本当に秘密で進めたい案件には向いていない

サイトごとに、登録案件の数や情報を見られる相手の範囲、出会ったあとの支援が違うので、数社を比べることが望ましいとも書かれています(43ページ)。

相談の前に用意するもの

社長

相談に行くとき、何を持っていけばいいですか。

案内役

最初の相談で用意する書類は、ガイドラインに書かれています。多くはありません。

同じページには、相談するときは、自分にとって都合の悪いことや言いにくいことほど先に伝える姿勢が望まれる、とも書かれています。相談先が、早めに対応を考えやすくなるためです。

引退したあとの過ごし方や、希望する条件の優先順位を考えておくことも挙げられています(35ページ)。流れの全体は会社を売るにはにまとめました。

手数料を引いたあとに手元に残る額の目安は、相談の前でも計算できます。譲渡額1億円で手取りを計算する

別の意見(セカンド・オピニオン)と、困ったときの窓口

社長

仲介会社と話を進めたあとで、ほかの人の意見を聞いてもいいのでしょうか。

案内役

ガイドラインに、聞く時期と相手ごとの注意が書かれています。

ほかの支援機関に意見を求めることを、ガイドラインはセカンド・オピニオンと呼んでいます(19ページ)。

  • 契約の前:業務の中身や報酬が妥当かについて、センターを含むほかの支援機関の意見を求めることも有効(38ページ)
  • 契約のあと:元の支援機関が認めないことがあるので、秘密保持の条項などを、意見を聞ける中身になるよう相談しておく(38ページ)
  • 聞く相手:同業の仲介会社などは、営業の機会ととらえて中立でない意見になるおそれが指摘されている。値段や最終契約など大事なことは、M&Aにくわしい士業やセンターに聞くことが望ましい(43ページ)

国に登録した仲介会社・FAは、秘密保持の条項の中身にかかわらず、センターなどへの相談や、国の情報提供受付窓口への情報提供を妨げないことが、登録の条件です(公募要領 令和8年度 7ページ)。

中小M&Aガイドライン(75〜76ページ)は、困ったときの窓口も挙げています。

窓口 何のための窓口か
事業承継・引継ぎ支援センター 中小M&A全般の問い合わせ。迷うときは、まずここ
日本弁護士連合会「ひまわりほっとダイヤル」 電話で弁護士との面談を予約できる。法的な助言を求めたいとき
国の情報提供受付窓口(M&A支援機関登録制度) 登録機関の不適切な事例を知らせる。もめごとの解決や助言はしない
業界団体の苦情相談窓口 その団体の会員の仲介会社についての苦情を受け付ける。もめごとの解決や助言はしない

国の情報提供受付窓口のページ(2026年10月13日に確認)も、個別のもめごとの処理や助言は弁護士などの専門家へ、としています。くわしくはM&A支援機関登録制度とはにまとめました。

よくある質問

社長 相談したら、会社を売らなければならないのですか?
案内役

中小M&Aガイドライン(34ページ)は、売るかどうかを決めていないからこそ相談が必要だとしています。センターは、決めていない段階の相談や、親族・社員への承継、廃業の相談も受けています(60ページ)。たたむ場合の手続きと費用は会社をたたむか、売るかにまとめています。

社長 相談だけでも、お金はかかりますか?
案内役

センターの相談は無料で、紹介された登録機関などに頼むと有料です(中小M&Aガイドライン66ページ)。中小機構のポータルにも「無料で相談に対応」とあります。仲介会社やFAに相談する段階の費用は、国の登録データに項目がありません。相談の前に、各社に確かめてください。

社長 取引のある銀行に相談すると、融資に影響しませんか?
案内役

影響があるかどうかは、このサイトでは分かりません。ガイドライン(109ページ)は、融資先の仲介などをする金融機関に、融資の部門とM&Aの部門の間に情報の仕切りを設けることが望ましいとし、債権者として立場が強くなりやすい点への配慮を求めています。

社長

まずは決算書などの写しをそろえて、県のセンターで話を聞いてみます。顧問の税理士にも、M&Aを手伝ってもらうときの費用を聞いてみます。

案内役

相談先ごとに、できることとお金のかかり方が違います。仲介会社やFAに頼むときは、届出の手数料を比べてから、契約の前に書面で確かめてください。

このデータについて

  • 相談先の役割と費用は、中小M&Aガイドライン(第3版・令和6年8月)と事業承継ガイドライン(第3版・令和4年3月改訂)の記述です。ページ番号はPDFに印字された番号です(2026年10月13日に確認)
  • 公的な窓口・公庫・補助金のことは、2026年10月13日に各公式サイトで確かめたものです。変わることがあるので、相談の前に各サイトで確かめてください
  • 機関の種類ごとの数は、M&A支援機関登録制度HP 登録支援機関データベースを加工して作成しました(取得日 2026年10月12日)。種類と手数料は各機関の届出(自己申告)です。最低手数料の中央値は、届け出た機関のうち10億円以上の3件(入力の誤りとみられる)を除いて数えました。着手金の割合の分母は、仲介の業務がある機関です
  • 当サイトは、どの相談先がよいかの助言や、仲介・交渉、価格や税についての助言は行いません

出典