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進め方

M&A仲介会社からDM・営業電話が来たら|国の注意と、返事の前に確かめる4つ

M&A仲介会社から手紙(DM)や営業電話が届いたときに、慌てずに確かめる順番をまとめました。国が出した営業についての注意、中小M&Aガイドラインの広告・営業の決まり、返事の前に確かめる4つ、断るときの文例、国の情報提供受付窓口を、国の資料で整理しています。

書いた人

M&A仲介の通信簿 編集部

国の「M&A支援機関登録制度」の届出を毎月取り込み、仲介会社の手数料を同じ条件で計算して載せています。記事は中小企業庁のガイドラインなど公的な資料にもとづいて書き、仲介や交渉、価格や税の助言はしません。

会社の郵便受けからのぞく封筒と、電話機・開いた封筒・ノートが置かれた机のそばで、社長が封筒を確かめているアイソメトリックのイラスト
社長

仲介会社から、会社を売りませんかという手紙が届きました。同じような電話も、何度かかかってきています。どう受け止めればいいのでしょうか。

案内役

返事をする前に、確かめられることがあります。国が把握している営業の問題と、仲介会社が守ると宣言している決まりから、順に見ていきましょう。

先に結論

  • DM(ダイレクトメール)は、会社あてに届く案内の手紙のことです。中小企業庁は2024年5月、仲介会社やFAによる「契約締結しない意思が表示されたにも関わらず継続される広告・営業」などが散見されるとして、中小企業に向けて周知・注意喚起を出しました
  • 2026年9月1日には、営業をやめてほしいという意思が反映されずに広告・営業が行われた登録機関1社に、改めて注意を出したと公表しています。名称は公表されていません
  • 国の登録機関が守ると宣言している中小M&Aガイドライン(第3版)は、やめてほしいと伝えられたら、ただちに広告・営業をやめることを求めています。名乗らない営業、即決を迫る営業、買い手の意向を偽る営業もしてはならないとしています(84〜85ページ)
  • 返事の前に確かめられるのは、国に登録しているか、手数料の届出、国の注意の履歴、契約の前の書面の説明の4つです
  • 売るつもりがないと伝えれば、ガイドラインでいう「停止意思」になります。伝えても続くときは、国の情報提供受付窓口に知らせることができます。名前を伏せた情報提供も受け付けています

DMと営業電話について、国が把握していること

社長

こういう手紙や電話は、うちだけに来ているのでしょうか。

案内役

国の資料に、同じような話がいくつも出てきます。中小企業庁は、営業について中小企業向けの注意を出し、やめてほしいという意思が反映されずに営業をした登録機関に、注意も出しています。

国の資料を、日付の順に並べます。

日付 資料 書かれていること
2022年6月21日 中小企業庁の検討会の資料「中小M&Aに関する有識者からの意見」 有識者の意見として「M&A専門業者からのDMアプローチや電話営業が乱発されるという苦言を耳にすることもあり」、M&A業界への不信感につながっているおそれ
2024年5月 中小企業庁財務課・登録制度事務局「昨今の中小M&A市場における動向を踏まえた周知・注意喚起について」 不適切な広告・営業が散見される。仲介会社・FAに停止を要請している
2026年9月1日 同「不適切な営業行為に係るトラブルの発生を踏まえた対応について」 過去に注意を受けた登録機関1社で、再び「広告・営業先の停止意思が適切に反映されず」広告・営業が行われたことを確認。改めて注意を出し、事実を公表

2024年5月の周知・注意喚起

2024年5月の周知・注意喚起は、「契約締結しない意思が表示されたにも関わらず継続される広告・営業」や、M&Aの成立の可能性や条件について「虚偽又は誤解を生じさせる広告・営業」などが「散見されております」と書き、仲介会社・FAに停止を求めているとしています。中小企業には、営業を望まないならその旨を伝え、それでも止まらないときは国の情報提供受付窓口に知らせることを検討するよう呼びかけています。この資料は、今もM&A支援機関登録制度HPのトップに載っています(2026年10月13日確認)。

2026年9月1日の再度の注意

2026年9月1日の公表資料には、次のことが書かれています。

  • 不適切な広告・営業で過去に注意を受けた登録機関1社について、再び情報提供があった。事実を確かめたところ「広告・営業先の停止意思が適切に反映されず、不適切な広告・営業が行われた」ことが確認された
  • 改めて注意を出し、公表した。名称は公表せず、所在地の都道府県名だけを公表した
  • 同じことが再び確認された場合は「社名公表や登録の取消しを含めた対応を検討します」
  • あわせて、停止意思の記録の基準を決めること、記録を残すこと、その情報を組織の中で共有する仕組みを作ることなどを求める旨を通知した

中小M&Aガイドラインの、広告・営業の決まり

社長

仲介会社の営業には、決まりがあるのですか。

案内役

国の中小M&Aガイドライン(第3版)に、広告・営業の決まりがあります。国に登録した機関は、守ると宣言しています。

中小M&Aガイドライン(第3版)は、仲介会社やFAが契約に向けて行う広告・営業について、少なくとも次の決まりを守ったうえで行う必要があるとしています(84〜85ページ)。

やめてほしいと伝えられたら、ただちにやめる

ガイドラインは、次のどれかを伝えることを「停止意思」と呼んでいます(84ページ)。

  1. M&Aをする意向がないこと
  2. その仲介会社・FAとは契約しないこと
  3. これからも広告・営業を受けることを望まないこと

停止意思を伝えられたら、仲介会社・FAは「停止意思を拒んではならず、ただちに広告・営業を停止しなければならない」とされています。あわせて、次のことも書かれています(84〜85ページ)。

  • 伝えられた停止意思は、組織として記録し、共有する
  • 時間がたって意向が変わることも考えられるが、営業を再開するなら、慎重に検討したうえで、担当者一人ではなく組織として判断し、記録を残す
  • 将来にわたって、または一定の期間、すべての広告・営業を受けないとはっきり伝えた相手への再開は「当然不可」
  • 再開したあと、改めて停止意思を伝えられたら、ただちにやめる

してはならない広告・営業

ガイドラインは、次のような広告・営業を「行ってはならない」としています(85ページ)。

  • 仲介会社・FAの名前、勧誘する人の氏名、契約の勧誘が目的であることを告げずに行うもの
  • M&Aを進めるかどうかを決めるのに必要な時間を与えず、その場での判断を迫るもの
  • M&Aの成立の可能性や条件について、うそや事実と違う内容、誤解を招く内容のもの。たとえば、買う意向のない会社や、意向を確かめていない会社、実在しない会社について、買う意向があると偽ったり、そう思わせたりするもの。会社の値段(譲渡額)の水準を大きすぎる額で示すもの。M&Aが成立するかどうかや条件を言い切るもの

ガイドラインは、過去の対応や回数などから見て、営業先の事業や経営者の生活に大きな支障を与えるほど行き過ぎた広告・営業は、民法上の不法行為の責任を負う可能性もあると、仲介会社・FAの側に書いています(84ページ)。業務の一部をほかの会社に任せた場合も、任せた仲介会社・FAが最終的な責任を負うとしています。例として、マッチング支援のための電話を営業の専門会社に頼む場合が挙がっています(82〜83ページ)。

登録機関は、守ると宣言している

国に登録するには、ガイドラインを守ると宣言することが条件です。公募要領(令和8年度)の宣言の文の見本(33ページ)と、登録機関が守る事項をまとめた「遵守事項一覧チェックシート」にも、この広告・営業の決まりが入っています。2026年10月12日に取得した国のデータベースでは、登録している3,362機関すべてが、第3版を守ると宣言していました。制度のしくみはM&A支援機関登録制度とはで、ガイドラインの全体は中小M&Aガイドライン(第3版)を社長向けにで説明しています。

返事の前に確かめる4つ

社長

売るかどうかは、まだ決めていません。話を聞くかどうかを決める前に、調べておけることはありますか。

案内役

国のデータと資料で、4つのことを確かめられます。手紙にある会社の名前が分かれば、1〜3はこのサイトで調べられます。4は、話を聞くときに受ける説明です。

確かめること どこで見るか 分かること
1. 国に登録しているか 名前で探せる一覧 登録の有無、届出の中身
2. 手数料の届出 通信簿と手取りの計算機 最低手数料・着手金、手元に残る額の試算
3. 国の注意の履歴 国の注意・登録取消の履歴 国の公表資料に書かれた注意・取消
4. 契約の前の書面の説明 M&A仲介の契約の前に確かめること 契約の前に受けられる説明の項目

1. 国に登録しているか

手紙や電話で名乗った会社の名前を、仲介会社を探すの「名前で探す」に入れてみてください。国の登録支援機関データベース(2026年10月12日取得・3,362機関)から探せます。国の登録支援機関データベースでも、名前から探せます。

見つからないときは、次のことが考えられます。

  • 手紙の差出人が、登録の名前(会社の正式な名前)と違う呼び名を使っている
  • その会社が国に登録していない

登録は営業の許可ではなく、登録していない会社も仲介やFAの仕事はできます(国のよくあるご質問)。ただし、登録していない会社は、ガイドラインを守る宣言をしていません。国の情報提供受付窓口も、登録していない機関には対応が難しい場合があるとしています。なお、名前や勧誘の目的を告げずに行う営業は、ガイドラインでしてはならないとされています(85ページ)。

2. 手数料の届出

登録機関は、手数料の決まりを国に届け出ています。国のデータベース(2026年10月12日取得)で、仲介の業務がある2,978機関の、売り手側の届出を数えると、次のとおりでした。

  • 最低手数料を届け出た機関の、最低手数料の中央値は300万円(入力の誤りとみられる10億円以上の3件を除いた2,506機関)
  • 最低手数料が1,000万円以上の機関は554(同じ2,506機関の22.1%)
  • 着手金ありと届け出た機関は1,240(2,978機関の41.6%)

料率が同じでも、最低手数料が違えば払う額は変わります。2026年9月1日の公表資料に付いた窓口の案内にも、「成功報酬は売却代金の5%と聞いていたが、最低報酬金額が適用され、想定よりも高い手数料を払うことになった」という事例が載っています。

手紙が届いた会社の届出は、通信簿で見られます。ほかの機関と同じ条件で比べるときは、譲渡額3,000万円で手数料を計算するや、譲渡額1億円で手数料を計算するのように、金額を入れて試算できます。最低手数料のしくみはM&A仲介の手数料の相場で説明しています。

3. 国の注意の履歴

国の注意・登録取消の履歴に、中小企業庁の公表資料を日付の順に並べています。ただし、社名が公表されたのは、2025年1月24日に登録を取り消された1社だけです。注意を受けた機関の名前は、2026年9月1日の1社も含めて公表されていません。

履歴に名前がないことは、注意を受けていないことを示すものではありません。

4. 契約の前の書面の説明

話を聞くと決めても、契約はその先です。ガイドラインは、仲介会社・FAに、契約の前に大事な事項を書いた書面を渡して説明することと、説明のあとに十分な検討の時間を与えることを求めています(86ページ)。説明する事項は、手数料、担当者の資格や経験、専任の条項、テール条項など17に分かれています(86〜88ページ)。

17の事項の中身は、M&A仲介の契約の前に確かめることにまとめています。

売るつもりがないときの、断り方の文例

社長

いまは売るつもりがありません。どう伝えれば、角が立たないでしょうか。

案内役

ガイドラインの「停止意思」の言葉に合わせて、事実だけを短く伝える書き方があります。ガイドラインの停止意思は、理由を添えることを条件にしていません。

ガイドラインでは、M&Aをする意向がないこと、その会社とは契約しないこと、これからも営業を受けることを望まないこと、のどれかを伝えれば、停止意思になります。次の文は、その言葉に合わせた一例です。

電話で伝えるとき:

当社は現在、会社の売却を検討しておりません。今後のご連絡はご遠慮ください。

手紙やFAX、メールで伝えるとき:

○○株式会社 御中

ご案内をいただき、ありがとうございました。当社は現在、会社の売却を検討しておりません。今後、郵便・電話・メールでのご案内は、すべてご遠慮ください。

年 月 日 会社名・氏名

ガイドラインでは、将来にわたって、または一定の期間、すべての広告・営業を受けないとはっきり伝えた相手に、営業を再開することは「当然不可」とされています。いつかは考えるかもしれないので、案内は受け取りたいという場合は、「いまは」とだけ伝える書き方もあります。どちらにするかは、社長ご自身が選べます。

国の窓口の受付フォームには、次のことを書く欄があります。伝えたら、手元に残しておけます。

  • 営業を受けた日時、担当者の名前、方法(郵便・電話・メールなど)
  • やめてほしいと伝えた日時、相手の担当者の名前、伝えた方法
  • 着信の履歴、届いた手紙やメール(写真でもよい)

この文例は書き方の一例で、法的な助言ではありません。法的な判断が要るときは、弁護士などの専門家にご相談ください。

伝えても続くときは、国の情報提供受付窓口へ

社長

やめてほしいと伝えたのに、また手紙が来たら、どうすればいいですか。

案内役

国の「情報提供受付窓口」に、フォームで知らせることができます。名前を伏せて知らせることもできます。ただし、もめごとを解決する窓口ではありません。

情報提供受付窓口は、M&A支援機関登録制度の事務局にある窓口です(受付フォーム)。2026年10月13日に確かめた窓口のページには、次のことが書かれています。

  • 受付はフォームだけ。電話での情報提供は終わっている
  • フォームには「営業(営業停止依頼後も営業が継続する等)」という区分がある。営業を受けた日時・担当者名・方法、やめてほしいと伝えた日時と方法、そのあとの営業を書く欄があり、着信の履歴やメール、DMの画像などを添えられる
  • やめてほしいとまだ伝えていない場合は、まずその支援機関に伝えてほしいとしている。伝えることで、営業が行われなくなる可能性があるため
  • 支援機関に知らせるかどうかと、知らせるときに名前を出すかどうかは「通知可(顕名)」「通知可(匿名)」「通知不可」から選べる。ただし、窓口にも名前を伏せて情報を寄せた場合は、本人の確認がとれないため、支援機関への通知はできない
  • 個別のもめごとの解決や助言はしない(弁護士などの専門家へ)。調査をするかどうかや、その結果には答えない
  • 登録していない機関については、対応が難しい場合がある

2026年9月1日の公表資料は、窓口で受け付けた情報を、その支援機関への聞き取りなどに使い、内容に応じて、注意や対策の指示、場合によっては社名の公表や登録の取消しをしているとしています。

登録機関は、顧客が窓口に相談したことだけを理由に、秘密保持の違反として訴えるなどの不利益な扱いをしないと誓約しています(公募要領 令和8年度の重要注意事項)。

迷ったときの相談先

社長

手紙をきっかけに、会社をどうするか、一度きちんと考えてみたくなりました。どこに相談すればいいですか。

案内役

国が各都道府県に置いている、事業承継・引継ぎ支援センターがあります。親族に継ぐことも、会社を売ることも、まとめて相談できます。

中小企業基盤整備機構の事業承継・引継ぎポータルは、センターを「国が47都道府県に設置している公的な相談窓口」とし、親族内承継や従業員承継を含め、事業承継のあらゆる相談に応じるとしています。同じページには「無料で相談に対応」とあり、民間の機関を使ってM&Aをするときの、セカンドオピニオンとしても使えると書かれています。

中小企業庁のチラシ「M&A支援機関の選定・契約時に確認すべき事項」も、手数料や支援の中身に疑問があるときは、センターや士業などの専門家への相談(セカンド・オピニオン)も有効だとしています。センターでできることと東海4県の窓口は、事業承継・引継ぎ支援センターとはにまとめました。

手紙の会社の話を聞く場合も、ほかの機関と比べられます。比べ方はM&A仲介会社の選び方に、売る流れは会社を売るにはにまとめています。手数料と手元に残る額は、譲渡額5,000万円で手数料を計算するのように試算できます。

よくある質問

社長 仲介会社のDMや営業電話は、禁止されていないのですか?
案内役

国の中小M&Aガイドラインは、広告・営業そのものを禁じてはいません。そのうえで、やめてほしいと伝えられたらただちにやめることなど、仲介会社・FAが守る決まりを置いています。個別の営業が法律に触れるかどうかは、弁護士などの専門家にご相談ください。

社長 手紙に、買いたいという会社があると書かれていました。本当でしょうか?
案内役

このサイトでは、個別の手紙の中身が本当かどうかは分かりません。ガイドラインは、買う意向のない会社や、意向を確かめていない会社、実在しない会社について、買う意向があると偽ったり、そう思わせたりする広告・営業をしてはならないとしています(85ページ)。話を聞く場合も、契約の前には書面の説明を受けられます。

社長 一度断った会社から、また連絡が来ました。
案内役

ガイドラインは、営業を再開するなら組織として判断して記録を残すこと、再開したあとに改めて伝えられたら、ただちにやめることを求めています。それでも続くときは、国の情報提供受付窓口に知らせることができます。

社長 窓口に知らせたことは、仲介会社に伝わりますか?
案内役

窓口のページは、寄せられた情報を、本人の同意なく関係する登録機関などに知らせることはないとしています。支援機関に知らせるかどうかは、フォームで「通知可(顕名)」「通知可(匿名)」「通知不可」から選べます。

社長

手紙が来るたびに落ち着かなかったのですが、確かめる順番が分かりました。まず名前で登録を探して、売るつもりがなければ、短く伝えてみます。

案内役

伝えた日と相手の名前を、メモに残しておいてください。続くときは国の窓口へ、考えてみたくなったら公的な窓口へ、と分けておくと迷いません。

このデータについて

  • 出典:M&A支援機関登録制度HP 登録支援機関データベースを加工して作成(取得日 2026年10月12日)。データは各機関の届出(自己申告)です
  • 機関の数は、データベースの3,362件すべてで数えました。手数料の数は、仲介の業務がある2,978機関の、売り手側の届出で数えました。最低手数料の中央値は、入力の誤りとみられる10億円以上の3件を除いて計算しました
  • 国の資料の中身は、2026年10月13日に各資料を開いて確かめた要約です。ページ番号は中小M&Aガイドライン(第3版)と公募要領(令和8年度)のものです
  • 注意を受けた機関の名前は、国の公表資料のとおり、このサイトでも書いていません
  • 断り方の文例は、ガイドラインの言葉に合わせた書き方の一例です。当サイトは、法的な判断や、仲介・交渉、価格や税についての助言は行いません

出典