社長
大手の仲介会社から手紙が来ました。上場している会社なら安心かと思うのですが、手数料はどのくらいかかるのでしょう。
案内役
上場している仲介会社8社が国に届け出た手数料を、国の登録データ(2026年10月12日取得)で並べます。上場しているかどうかで、どこがよいかは決めません。自分の会社の金額で、手数料と手元に残る額を確かめる材料にしてください。
先に結論
- 東証・名証に上場している会社(グループ)のうち、有価証券報告書などでM&Aの仲介を主な事業としている8社を、国の登録データで並べました
- 8社のうち7社は、仲介の売り手側の最低手数料を1,500万〜2,500万円と届け出ています。全国の中央値は300万円で、1,500万円以上と届け出た機関は2,506機関のうち286(11.4%)です
- 譲渡額3,000万円の会社では、計算できた6社の手数料(税込)は1,650万〜2,750万円で、手元に残るのは250万〜1,350万円です。全国の中央値は330万円です
- 譲渡額5億円では、計算できた7社の手数料(税込)は2,750万〜3,850万円で、全国の中央値(2,750万円)に近づきます
- 着手金・中間金の金額を届け出ていない会社があります。日本M&Aセンターの有価証券報告書は、売り手の着手金を「会社規模に応じて通常100万円〜300万円程」としています
- 上場していることも、国に登録していることも、国が支援の質を保証するものではありません。自分の会社の金額を計算機に入れ、契約の前に各社に書面で確かめてください
対象にした8社
社長
上場している仲介会社というと、どこが入るのですか。
案内役
東証と名証の上場銘柄の一覧と、各社の有価証券報告書などで、M&Aの仲介を主な事業としている会社を選びました。仲介をしているのが子会社のときは、その子会社の届出を見ます。
日本取引所グループの「東証上場銘柄一覧」(2026年9月30日時点)と、各社の有価証券報告書・決算説明資料で確かめた8社です。並びは証券コードの順で、手数料の順ではありません。
| 上場会社(証券コード・市場) | 国に登録している仲介の会社 | 本店 | 専従者(届出) | 2024年度の成約件数(届出) |
|---|---|---|---|---|
| 日本M&Aセンターホールディングス(2127・東証プライム) | 日本M&Aセンター | 東京都 | 649人 | 101件〜 |
| M&Aキャピタルパートナーズ(6080・東証プライム) | M&Aキャピタルパートナーズ | 東京都 | 203人 | 101件〜 |
| ストライクグループ(6196・東証プライム) | ストライク | 東京都 | 343人 | 届出なし |
| 名南M&A(7076・名証メイン) | 名南M&A | 愛知県 | 41人 | 11〜50件 |
| オンデック(7360・東証グロース) | オンデック | 大阪府 | 36人 | 11〜50件 |
| ジャパンM&Aソリューション(9236・東証グロース) | ジャパンM&Aソリューション | 東京都 | 26人 | 51〜100件 |
| クオンツ総研ホールディングス(9552・東証プライム) | M&A総合研究所 | 東京都 | 329人 | 101件〜 |
| インテグループ(192A・東証グロース) | インテグループ | 東京都 | 43人 | 11〜50件 |
- ストライク: ストライクグループの半期報告書によると、持株会社の体制に移るため、仲介の事業を新しく作った会社(今の株式会社ストライク)に引き継いでいます。国のデータベースでは新しい会社の届出で、2024年度の成約件数は「-」です
- クオンツ総研ホールディングス: 旧社名はM&A総研ホールディングスです。M&A総合研究所のほか、持株会社と2社も登録していて、手数料の届出は同じです。ここではM&A総合研究所の届出を載せました
- M&Aキャピタルパートナーズ: グループのレコフも登録していて、仲介の売り手側の手数料の届出は同じです
- 名南M&A: 名古屋証券取引所のメイン市場に上場しています(東証の一覧には入っていません)
届け出ている手数料の決まり
社長
手数料の決まりは、会社ごとに違うのですか。
案内役
料率は8社ともほぼ同じで、違いが大きいのは最低手数料と、計算の基準になる金額です。
仲介の売り手側の届出です。料率は、7社が「5億円以下の部分は5%」から始まる段の表(レーマン方式)で、M&A総合研究所だけは最初の段が「5億円以下 2,500万円」の定額です。
| 会社 | 基準となる金額 | 最低手数料 | 着手金 | 中間金 |
|---|---|---|---|---|
| 日本M&Aセンター | 移動総資産 | 2,000万円 | あり(金額の届出なし) | なし |
| M&Aキャピタルパートナーズ | 株価 | 2,500万円 | なし | あり(金額の届出なし・成功報酬に含む) |
| ストライク | オーナー受取額 | 2,000万円 | なし | あり(金額の届出なし・成功報酬に含まない) |
| 名南M&A | その他 | 2,000万円 | 60万円(成功報酬に含まない) | なし |
| オンデック | 株価 | 2,000万円 | 30万円(成功報酬に含まない) | あり(金額の届出なし・成功報酬に含む) |
| ジャパンM&Aソリューション | オーナー受取額 | 500万円 | なし | なし |
| M&A総合研究所 | 株価 | 2,500万円 | なし | なし |
| インテグループ | 株価 | 1,500万円 | なし | なし |
ジャパンM&Aソリューションは、月額報酬10万円(成功報酬に含まない)も届け出ています。
最低手数料は、計算した手数料がその額より小さいときに、代わりに払う額です。全国で仲介の売り手側の最低手数料を届け出た2,506機関の中央値は300万円で、届け出た額の分かれ方は次のとおりでした(入力の誤りとみられる10億円以上の3件を除く)。
| 最低手数料 | 機関の数 | 割合 |
|---|---|---|
| 500万円以上 | 1,009 | 40.3% |
| 1,000万円以上 | 554 | 22.1% |
| 1,500万円以上 | 286 | 11.4% |
| 2,000万円以上 | 223 | 8.9% |
| 2,500万円以上 | 70 | 2.8% |
「基準となる金額」は、料率を掛ける元の金額です。株価(譲渡額)か、負債を足した移動総資産か、社長が受け取る額かで、同じ譲渡額でも手数料が変わります。違いはM&A仲介の手数料の相場にまとめています。
譲渡額ごとの手数料と、手元に残る額
社長
うちの会社の規模だと、実際にいくらになりますか。
案内役
計算機と同じ決まりで、譲渡額を3つ置いて計算しました。5億円より小さい会社では、多くの会社で最低手数料が手数料を決めます。
計算機と同じ決まりで、負債の合計は譲渡額の半分、有利子負債は譲渡額の2割、現預金は譲渡額の1割、役員借入金はなしとした仮の会社で計算しました。税込で、成功報酬に含まない着手金・中間金のうち金額の届出があるものを足し、月額報酬は足していません。かっこの中は、譲渡額から手数料を引いた手元に残る額です(税金やほかの費用は含みません)。
| 会社 | 譲渡額3,000万円 | 譲渡額1億円 | 譲渡額5億円 |
|---|---|---|---|
| 日本M&Aセンター | 2,200万円(800万円) | 2,200万円(7,800万円) | 3,850万円(4億6,150万円) |
| M&Aキャピタルパートナーズ | 2,750万円(250万円) | 2,750万円(7,250万円) | 2,750万円(4億7,250万円) |
| ストライク | 2,200万円(800万円) | 2,200万円(7,800万円) | 2,750万円(4億7,250万円) |
| 名南M&A | 計算していません | 計算していません | 計算していません |
| オンデック | 2,233万円(767万円) | 2,233万円(7,767万円) | 2,783万円(4億7,217万円) |
| ジャパンM&Aソリューション | 550万円(2,450万円) | 550万円(9,450万円) | 2,750万円(4億7,250万円) |
| M&A総合研究所 | 2,750万円(250万円) | 2,750万円(7,250万円) | 2,750万円(4億7,250万円) |
| インテグループ | 1,650万円(1,350万円) | 1,650万円(8,350万円) | 2,750万円(4億7,250万円) |
| 全国の中央値 | 330万円 | 638万円 | 2,750万円 |
- 名南M&Aは、基準となる金額を「その他」と届け出ているため、計算機と同じく計算していません。料率表と最低手数料の届出は、上の表のとおりです
- ストライクの中間金は「成功報酬に含まない」と届け出ていますが、金額の届出がないため、足していません
- 全国の中央値は、計算できた約2,450機関の真ん中の値です。売り手から成功報酬を取らないと届け出た機関は入れていません
譲渡額3,000万円では、最低手数料を1,500万円以上と届け出た会社の手数料が、譲渡額の半分を超えます。譲渡額3,000万円で全機関の手数料を計算する・譲渡額1億円で計算する・譲渡額5億円で計算すると、ほかの機関とも同じ条件で並べられます。会社の規模と手数料の関係は小さな会社のM&Aにまとめています。
着手金・中間金・月額報酬
社長
着手金の金額が届け出られていない会社は、いくらかかるのですか。
案内役
国のデータベースからは分かりません。有価証券報告書に目安を書いている会社はあります。契約の前に、書面で確かめてください。
国のデータベースで、仲介の売り手側の着手金を「あり」とした会社は3社です。オンデックは30万円、名南M&Aは60万円と届け出ていて、どちらも成功報酬とは別です。日本M&Aセンターは金額を届け出ていません。同社の有価証券報告書は「事業の内容」で、売り手と仲介の契約を結ぶときに受け取る着手金を「会社規模に応じて通常100万円〜300万円程」としています。
中間金は、M&Aキャピタルパートナーズ・ストライク・オンデックが「あり」と届け出ていて、どれも金額の届出はありません。M&Aキャピタルパートナーズとオンデックは成功報酬に含む、ストライクは含まないとしています。
成約しなかったときに着手金・中間金が戻るか、成功報酬から差し引かれるかは、契約で決まります。くわしくはM&Aの着手金・中間金・月額報酬とは?をご覧ください。
対象に入れなかった会社
- 銀行・証券会社・経営コンサルティングの会社など、M&Aの支援が事業の一部の上場会社は、国に登録していても入れていません
- ブティックス(9272・東証グロース)は、M&Aの仲介を報告セグメントの1つにしていますが、有価証券報告書の売上はほかの事業のほうが大きいため、入れていません。国のデータベースでは、仲介の売り手側の最低手数料100万円・基準となる金額「その他」・料率表は「2,000万円以下 10%」から始まる10段と届け出ています
- バトンズ(554A・東証グロース)は、国のデータベースで「M&Aプラットフォーマー」として登録していて、仲介会社の比べ方と違うため入れていません。M&Aプラットフォームのしくみは事業承継マッチングサイトとはにまとめています
1社ずつの届出を確かめる
会社の名前を押すと、その機関の届出をまとめた通信簿が開きます。料率表・最低手数料・着手金などの届出と、国が出した注意の有無を、同じ形で見られます。
ほかの機関と比べるときは、M&A仲介会社の選び方にある6つの点が使えます。手紙や電話で連絡が来たときの確かめ方はM&A仲介会社からDM・営業電話が来たらにまとめています。
よくある質問
社長
上場している会社なら安心ですか?
案内役
このサイトは、会社のよしあしを決めません。国の登録も、国が支援の質を保証するものではないと、M&A支援機関登録制度の公募要領(令和8年度)は書いています。契約の中身・担当者・費用を、各社に書面で確かめてください。
社長
最低手数料より安くしてもらえますか?
案内役
届出は各社の基準です。個別の金額は、各社に確かめてください。手数料の計算のしかたはレーマン方式とは?にまとめています。
社長
譲渡額が小さい会社は、どこに相談すればいいですか?
案内役
最低手数料の低い機関もあります。計算機で、自分の会社の金額で並べられます。無料の公的な窓口は事業承継・引継ぎ支援センターとはにまとめています。
社長
このデータは、いつ新しくなりますか?
案内役
国のデータベースを毎月5日に取り込み直します。この記事の数字は、2026年10月12日に取得したデータです。
このデータについて
- 使った資料: M&A支援機関登録制度HP 登録支援機関データベースを加工して作成しました(取得日 2026年10月12日)。届出は各機関の自己申告で、国が中身を確かめたものではありません
- 対象の8社: 日本取引所グループの「東証上場銘柄一覧」(2026年9月30日時点)と名南M&Aの有価証券報告書で上場を、各社の有価証券報告書・決算説明資料の「事業の内容」などで、M&Aの仲介を主な事業としていることを確かめました。国のデータベースとは、法人番号と名前で突き合わせました
- 最低手数料の分かれ方: 仲介の業務がある機関の、仲介の売り手側の最低手数料(税抜)です。届出のある2,509機関から、入力の誤りとみられる10億円以上の3件を除いた2,506機関で数えました
- 計算: 計算機と同じ計算のしかたで、仮の会社(負債の合計は譲渡額の半分、有利子負債は2割、現預金は1割、役員借入金はなし)で計算した試算です。数え方の道具は、このサイトのリポジトリの research/2026-10-16_listed-fees.mjs です
- 全国の中央値: 仲介の売り手側の届出から計算できた機関の真ん中の値です(譲渡額3,000万円で2,445機関・1億円で2,447機関・5億円で2,447機関)
- このサイトは、特定の機関をすすめず、順位もつけていません。並びは証券コードの順です。仲介や交渉、価格や税についての助言は行いません
出典
- 中小企業庁 M&A支援機関登録制度 登録支援機関データベース(2026年10月12日取得)
- 日本取引所グループ 東証上場銘柄一覧(2026年9月30日時点)
- 中小企業庁 M&A支援機関登録制度公募要領(令和8年度)
- 日本M&Aセンターホールディングス 有価証券報告書 第35期
- M&Aキャピタルパートナーズ 有価証券報告書 第20期
- ストライク 有価証券報告書 第29期
- ストライクグループ 半期報告書 第30期中
- 名南M&A 有価証券報告書 第11期
- オンデック 有価証券報告書 第14期
- ジャパンM&Aソリューション 有価証券報告書 第6期
- クオンツ総研ホールディングス 2026年9月期 第3四半期 決算説明資料(2026年8月14日)
- インテグループ 有価証券報告書 第19期
- ブティックス 有価証券報告書 第20期
