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公的な支援

事業承継・M&A補助金で仲介手数料は補助される?|専門家活用枠と、対象になる登録機関

事業承継・M&A補助金(専門家活用枠)で、仲介会社やFAの手数料が補助の対象になる条件を、16次公募の公募要領で整理しました。売り手の補助率と上限、契約の時期、見積もりの決まり、対象になりうる登録機関の数、受付の締め切り(2026年11月6日17時)をまとめています。

書いた人

M&A仲介の通信簿 編集部

国の「M&A支援機関登録制度」の届出を毎月取り込み、仲介会社の手数料を同じ条件で計算して載せています。記事は中小企業庁のガイドラインなど公的な資料にもとづいて書き、仲介や交渉、価格や税の助言はしません。

書類の束とカレンダー・砂時計・ノートパソコンが置かれた窓口の机の前で、社長が書類の順番を確かめているアイソメトリックのイラスト
社長

会社を売る相談をした仲介会社から、「国の補助金で手数料の一部が補助されることがあります」と聞きました。本当に、仲介会社に払う手数料が補助されるのでしょうか。

案内役

条件がそろえば、国に登録した仲介会社やFAの手数料の一部が補助の対象になります。ただ、契約を結ぶ時期など、知らないと対象から外れる決まりもあります。2026年10月13日時点の16次公募の公募要領で、順に見ていきましょう。

先に結論

  • 事業承継・M&A補助金の「専門家活用枠」では、M&A支援機関登録制度に登録された仲介会社・FAに払う着手金・中間金・成功報酬などが、補助の対象になりえます。登録していない会社に払う手数料は対象外です
  • 売り手の補助率は原則2分の1以内(営業利益率が下がっているか赤字なら3分の2以内)で、補助の上限は600万円です。小規模の会社向けの類型は3分の2以内で、上限は450万円です
  • 仲介会社・FAとの契約は、交付決定(2027年1月下旬の予定)のあとに結ぶ決まりです。交付決定の前に結んだ契約の手数料は、補助の対象になりません
  • 補助は後払いで、消費税は対象外です。受け取った補助金は、法人税などの課税の対象です
  • 16次公募の受付は2026年11月6日(金)17時までです。補助率・上限・締め切りは、公募の回ごとに変わることがあります

事業承継・M&A補助金の専門家活用枠とは

社長

事業承継・M&A補助金というのは、どんな補助金なのですか。

案内役

事業の引き継ぎにかかる費用の一部を補助する国の補助金で、4つの枠があります。仲介会社やFAの費用を扱うのは「専門家活用枠」です。

事業承継・M&A補助金は、国の「中小企業生産性革命推進事業」の補助金で、受付は事業承継・M&A補助金事務局が行います。16次公募のパンフレット(全体版)では、4つの枠に分かれています。

枠 主な中身
事業承継促進枠 家族や社員への承継をきっかけにした設備投資などの費用
専門家活用枠 M&Aで事業を引き継ぐときに使う、仲介・FAなどの専門家の費用
PMI推進枠 M&Aのあとの統合の作業の、専門家の費用や設備投資
廃業・再チャレンジ枠 M&Aで譲り渡せなかったときなどに、事業をたたむ費用

専門家活用枠は、立場によって次の類型に分かれます(パンフレット、公募要領 6ページ)。

  • 買い手支援類型(Ⅰ型): 株式や事業を譲り受ける予定の会社。売上高100億円を目指す会社向けの「100億企業特例」もあります
  • 売り手支援類型(Ⅱ型): 株式や事業を譲り渡す予定の会社
  • 小規模売り手支援類型: 譲り渡す予定の、従業員の少ない会社や個人事業主(15次公募から)

同じM&Aで、買い手と売り手がそれぞれ申請できます(公募要領 17ページ)。

仲介・FAの手数料は補助の対象になるか

社長

仲介会社に払う手数料は、どれも補助の対象になるのですか。

案内役

国の登録制度に登録した仲介会社やFAの手数料なら、着手金から成功報酬まで対象になりえます。ただし、それぞれ決まった期間の中で、契約と支払いを済ませる必要があります。

公募要領の別紙は、仲介やFAに払う相談料・着手金・月ごとの報酬・基本合意のときの報酬・成功報酬・価値の算定の費用などを「委託費」とし、M&A支援機関登録制度に登録された仲介会社・FAが支援したものに限って補助の対象にしています(63ページ)。

主な手数料と、補助の対象にするための条件は次のとおりです(公募要領 18ページ)。

手数料 公募要領での呼び方 補助事業期間の中で済ませること
着手金 着手金 仲介会社・FAとの契約と、支払い
月額報酬 リテーナー費用 仲介会社・FAとの契約と、支払い
中間金 基本合意時報酬(中間報酬) 契約、相手との基本合意書の締結、支払い
成功報酬 成功報酬 契約、相手との最終契約書の締結、支払い

中間金と成功報酬には、もう1つ条件があります。仲介会社・FAとの契約書に、基本合意書を結んだときに中間報酬を払うこと、最終契約書を結んだときに成功報酬を払うことが書かれている必要があります。基本合意の代わりに意向表明書を出しただけでは、中間金の条件を満たしません(18ページ)。契約書の中身の見方は、M&A仲介の契約の前に確かめることにまとめています。

登録は交付決定のときに確かめられ、そのとき登録されていない仲介会社・FAの手数料は認められません(18・73ページ)。

手数料のほかに、デュー・ディリジェンスの費用、弁護士に最終契約書を確かめてもらう費用、セカンド・オピニオンの費用、マッチングサイトの利用料なども対象になりえます(63〜66ページ)。仲介・FAとの契約の前のコンサルティングの費用や、この補助金の書類を作ってもらう費用は対象外です(58・64ページ)。

売り手の補助率と上限

社長

対象になるとして、手数料のどのくらいが補助されるのですか。

案内役

割合と上限は類型で違います。売り手には、通常の類型と、小規模の会社向けの類型があります。

売り手の2つの類型の違いを、16次公募の資料のとおりに並べました(公募要領 9〜10・14・21ページ、小規模売り手支援類型の公募要領 9・14・20ページ、よくある質問)。

項目 売り手支援類型(Ⅱ型) 小規模売り手支援類型
対象 中小企業者等 小規模事業者等(製造業その他は従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下など)
補助率 2分の1以内(条件に当てはまれば3分の2以内) 3分の2以内
補助の上限 600万円 450万円
上乗せ デュー・ディリジェンスの費用 +200万円、廃業の費用 +300万円 廃業の費用 +150万円
補助の下限 50万円 なし
M&Aの形 株式譲渡・事業譲渡・合併・会社分割など 株式譲渡・事業譲渡

補助率が3分の2以内に上がるのは、次のどちらかに当てはまる売り手です(公募要領 21ページ)。

  1. 物価高などの影響で、営業利益率が下がっている(直近の事業年度を2期前と比べるなど)
  2. 直近の決算期の営業利益か経常利益が赤字

上限と下限は、補助される額の決まりです。通常の類型では、補助の額が50万円に届かない申請は受け付けられません(21ページ)。

小規模事業者等は、通常の類型にも申請できますが、同じ回ではどちらか1つです(小規模売り手支援類型の公募要領 6ページ、よくある質問)。

補助の前の手数料の見込みは、計算機で出せます。たとえば譲渡額3,000万円で、補助の前の手数料を計算すると、届出のある機関の手数料と手元に残る額を同じ条件で試算できます(消費税込み・月額報酬は含まない)。補助でいくら減るかは、類型・補助率・見積もりの結果などで変わる個別の判断のため、このサイトでは計算しません。

仲介会社との契約は、交付決定のあと

社長

いま話をしている仲介会社と、もう契約の話が進んでいます。補助金と関係がありますか。

案内役

関係があります。公募要領は、仲介会社・FAとの契約を交付決定のあとに結ぶよう定めていて、交付決定の前に結んだ契約の手数料は補助の対象になりません。

16次公募の主な日程は次のとおりです(説明会資料 2ページ、公募要領 18・26ページ。採択から先はすべて予定)。

時期 出来事
2026年10月2日〜11月6日17時 公募の申請の受付
2026年12月下旬以降 採択か不採択かの通知
2027年1月上旬から 交付申請(ここで見積書などを出す)
2027年1月下旬から 交付決定。ここから補助事業期間(14か月以内)
補助事業期間のあと 実績報告・確定検査・補助金の請求と受け取り

公募要領は、交付決定の通知を受けてから、専門家との契約などに取りかかるよう書いています(22ページ)。対象になるのは、契約が交付決定の日のあとの補助事業期間の中にあり、支払いまでその期間の中で済んだ経費です(18ページ)。採択と交付決定は別のものです(よくある質問)。

成功報酬について、公募要領は次のように整理しています(19ページ)。

  • 仲介会社・FAとの契約、相手との最終契約、成功報酬の支払いが、すべて補助事業期間の中:対象
  • 仲介会社・FAとの契約だけが、期間の前:対象外
  • 仲介会社・FAとの契約と最終契約が、期間の前:対象外
  • 成功報酬の支払いが、期間のあと:対象外

覚書などで最終契約の日を期間の中にずらすことも、原則として認められません(19ページ)。売る流れの全体は会社を売るにはにまとめています。

成約しなかったときと、対象にならないM&A

社長

相手が見つからず、売れなかったら、払った着手金はどうなりますか。

案内役

補助事業期間の中に成約しなかったときは、補助の上限が下がり、対象になる費用も限られます。通常の売り手支援類型では、着手金は対象から外れます。

この補助金での「M&Aの実現」は、補助事業期間の中にクロージング(株式などを渡し、代金を受け取ること)まで終わることを指します(公募要領 11ページ)。期間の中にクロージングまで終わらなかったときの扱いは、次のとおりです。

  • 売り手支援類型(Ⅱ型): 補助の上限は300万円に下がり、補助の対象は原則としてデュー・ディリジェンスの費用とマッチングサイトの利用料(システム利用料)だけになります。廃業の費用も対象外です(21・34ページ、よくある質問)。説明会資料(35ページ)は、着手金など、基本合意の前に生じた専門家の費用は対象外になるとしています
  • 小規模売り手支援類型: 補助の上限は50万円に下がります。基本合意書を結んでいる場合に限って、原則として着手金・マッチングサイトの利用料・デュー・ディリジェンスの費用が対象になります(小規模売り手支援類型の公募要領 20・30ページ)

成約しなかったときも、理由と今後の計画の報告書を出し、そのあと3年間、状況を報告します(公募要領 34・41ページ)。

また、次のようなM&Aは、相手との間で実質的な事業の引き継ぎがないとみなされ、原則として補助の対象外です(13・15ページ)。

  • 親族の間の事業承継(家族などへの承継)や、グループの中の再編
  • 物や不動産だけの売買
  • 取引の価格が、専門家への費用などに比べて低く、価格の合理性が確かめられないもの
  • 株式の譲渡のあと、買い手の議決権が過半数にならないもの
  • 休眠会社など、事業の実態がない会社のM&A

常時使用する従業員が1人以上引き継がれない場合も、要件を満たさないと判断されることがあります(13ページ)。申請する法人は、3期分の決算と申告が終わっている必要があります(6ページ)。

見積もりと支払いの決まり

社長

仲介会社は、いま話をしている1社に決めるつもりでした。それでも補助の対象になりますか。

案内役

公募要領は、原則として2者以上から見積もりを取り、いちばん低い金額の見積もりを出した会社を選ぶことを求めています。仲介・FAの見積もりは、比べる相手も登録機関である必要があります。

仲介・FAへの委託費は、金額にかかわらず原則として2者以上から見積もり(相見積)を取り、最も低い価格の会社を選ぶ決まりです(公募要領 56・65ページ)。よくある質問は、そうでない会社を選ぶと対象にならないこと、相見積の相手も登録機関である必要があることを答えています。

例外として、仲介・FAの見積額(着手金を含む報酬の総額)が、次の表で計算した額以下なら、相見積は要りません(71〜72ページ)。基準は、譲渡額か移動総資産(譲渡額に負債を足した額)です。

譲渡額か移動総資産のうち 掛ける割合
5億円以下の部分 5%
5億円超10億円以下の部分 4%
10億円超50億円以下の部分 3%
50億円超100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%

ただし、見積書に最低報酬額が書かれている場合は、相見積が求められます(71ページ)。この表は中小企業庁が定めたものではなく、参照用の一般的なものとされています(72ページ)。レーマン方式の考え方は、M&A仲介の手数料の相場で説明しています。

2026年10月12日に取得した国のデータベースでは、仲介の業務がある2,978機関のうち2,509機関が、売り手側の最低手数料を届け出ていました(中央値300万円)。実際の見積書に最低報酬額が入るかどうかは、各社の見積書で確かめることになります。

支払いと受け取りには、次の決まりがあります(公募要領 21・43・44・56ページ)。

  • 支払いは、補助を受ける事業者の名義の口座からの振込か、クレジットカードの1回払いだけが対象です
  • 補助の対象の経費からは、消費税を除きます
  • 補助は後払い(精算払い)で、確定検査で額が決まってから支払われます
  • 受け取った補助金は、法人税などの課税の対象です
  • 交付のあと、会社名・代表者名・都道府県などが公表されることがあります

対象になりうる登録機関を調べるには

社長

いま話をしている仲介会社が登録しているかどうかは、どこで分かりますか。

案内役

国の登録支援機関データベースで、名前から確かめられます。このサイトの一覧も、同じデータベースの全機関を載せています。

2026年10月12日に取得した国のデータベースには3,362機関が載っていて、どの機関も仲介かFAの業務を届け出ています。

届け出ている業務 機関の数
仲介とFAの両方 2,841
FAだけ 384
仲介だけ 137
合計 3,362

仲介の業務がある機関は2,978、FAの業務がある機関は3,225でした。このサイトの仲介会社を探す(一覧)では、名前や本店の都道府県、業務の種類から探せます。

データベースに載っていることだけで、補助の対象になるとは限りません。登録の確認は交付決定のときで(公募要領 18ページ)、登録を続けるには毎年度の報告と継続の申請が要ります(M&A支援機関登録制度公募要領 令和8年度 11ページ)。同じ公募要領は、登録は支援の質を保証するものではないとしています。制度のしくみはM&A支援機関登録制度とはにまとめています。

手数料の届出は、通信簿(機関ごとのページ)で見られます。成約しなかったときの着手金や中間金の扱いはM&Aの着手金・中間金・月額報酬とは?に、補助の前の手数料は譲渡額1億円で計算するのように計算機で試算できます。

16次公募の受付期間と申請の方法

社長

申し込みの締め切りはいつですか。

案内役

16次公募の受付は、2026年11月6日(金)17時までです。国の電子申請のシステム「Jグランツ」だけで受け付けています。

受付期間は2026年10月2日(金)から11月6日(金)17時までで、締め切りを過ぎた申請は受け付けられません(公募要領 26ページ)。申請にはGビズIDプライムのアカウントが必要で、取得には1〜2週間ほど、混み合うときは3週間ほどかかるとされています(2・23ページ)。

会社として申請するときは、履歴事項全部証明書、直近の確定申告書、直近3期分の決算書、株主名簿、従業員1人の労働条件通知書、代表者の住民票などを出します(27〜28ページ)。株式の譲渡になる場合に備えて、議決権の過半数を持つ株主(またはその代表者)と一緒に申請します(パンフレット、公募要領 6・17ページ)。見積書は採択のあとの交付申請で出し、買い手の候補が決まっていなくても申請はできます(よくある質問)。

申請は、事業者が自分で中身を理解して行うことが求められています。行政書士でない人がお金を受け取って申請を代わりに作ることは、行政書士法に違反する可能性があるとされています(23・25ページ)。

補助金の決まりの問い合わせ先は、事業承継・M&A補助金事務局(専門家活用枠)の電話 050-3145-3812 です(9時30分〜12時・13時〜17時、土日祝日を除く)。公募要領(53ページ)は、M&Aや事業承継の相談先として事業承継・引継ぎ支援センターも挙げています。使い方は事業承継・引継ぎ支援センターとはにまとめています。

よくある質問

社長 すでに仲介会社と契約しています。手数料は補助の対象になりますか?
案内役

16次公募の専門家活用枠のよくある質問は、交付決定の前に仲介・FAと契約を結んでいた場合、支払いが補助事業期間の中でも対象にならないと答えています。個別の扱いは、事業承継・M&A補助金事務局に確かめてください。

社長 補助金は、いつ受け取れますか?
案内役

補助は後払い(精算払い)です。補助事業が終わって実績報告を出し、確定検査で額が決まってから支払われます(公募要領 43ページ)。

社長 家族に会社を継ぐときの費用も対象になりますか?
案内役

専門家活用枠では、親族の間の事業承継やグループの中の再編は、原則として対象外です(公募要領 13ページ)。家族や社員への承継をきっかけにした設備投資などは、同じ補助金の事業承継促進枠が扱っています。

社長

契約の時期しだいで対象から外れるとは知りませんでした。見積もりの取り方も含めて、公募要領と事務局で確かめてみます。

案内役

補助の前の手数料は、計算機で機関ごとに比べられます。補助の条件は回ごとに変わるので、使うかどうかを考えるときは、その回の公募要領を開いて確かめてください。

このデータについて

  • 補助金の中身は、16次公募の資料(公募要領・パンフレット・説明会資料・よくある質問)を2026年10月13日に確認した要約です。ページ番号は各資料のPDFに印字された番号で、公募要領は別紙まで通しの番号です
  • 機関の数は、M&A支援機関登録制度HP 登録支援機関データベースを加工して作成しました(取得日 2026年10月12日)。データは各機関の届出(自己申告)です。最低手数料の中央値は、入力の誤りとみられる10億円以上の3件を除いて計算しました
  • 補助で手数料がいくら減るかは計算していません。類型・補助率・見積もりの結果・消費税の扱いなどで変わり、個別の判断になるためです
  • 当サイトは、補助金の申請の代行や、申請の中身・採択の見込みについての助言は行いません。仲介や交渉、価格や税についての助言も行いません。補助金のことは事業承継・M&A補助金事務局に、M&Aの進め方は事業承継・引継ぎ支援センターなどに確かめてください

出典