くわしく
中小M&Aガイドライン(第3版)は、表明保証条項を、契約の一方の当事者が相手に対し、決まった時点(一般には最終契約を結ぶときとクロージングのときの両方)で、契約に関する事項が真実で正確だと表明し、その内容を保証する条項だとしています。違反したときの損害賠償や契約の解除といった補償の決まりも、あわせて設けるのが通常です(22ページ)。
ガイドラインの例では、社員との労働の争いはないと表明保証していたのに実際には争いがあり、M&Aのあとに和解した場合、和解金にあたる額を売り手(またはその社長など)が負担することが考えられるとしています(22ページ)。最終契約で決める主な中身にも、表明保証条項(何を保証するか)と補償条項(違反したとき、いつまで、どのくらい補償するか)が入っています(49ページ)。
表明保証保険
ガイドラインは、表明保証保険(M&A保険とも呼ばれます)を、表明保証の違反があったときに売り手か買い手が受ける損害を埋める保険だとしています。リスクを保険会社に引き受けてもらえるため、表明保証や補償の範囲の交渉がまとまりやすくなる場合もあります。入るときは、一般にデュー・ディリジェンス(DD)の報告書などを保険会社に出し、引き受けの審査を受けます(23・53ページ)。
事業承継・M&A補助金の専門家活用枠(16次公募)では、売り手支援類型なら、売り手が手配した表明保証保険の保険料も補助の対象になる経費です(公募要領 20・67ページ)。
誤解されやすい点
- 期間や責任の上限がない表明保証や、どんな場面に当てはまるのかがはっきりしない表明保証は、売り手が重すぎる責任を負い、争いになるおそれがあるとガイドラインは書いています。DDの結果をふまえて範囲を決めることが大事で、決まった型のまま無期限・無制限の条項を入れることは慎重に検討するよう求めています(52〜53ページ)。仲介会社やFAには、このことを依頼者に説明するよう求めています(97ページ)
- DDが十分でないと、表明保証の範囲や補償の額・期間など、売り手の負担が重くなりうるとしています(48ページ)
- 社長が中身を正しく理解しないまま、事実と違うことを表明保証してしまうことも考えられるとしています(120〜121ページ)
条文の中身の判断は、弁護士などの専門家に確かめてください。売る流れの全体は会社を売るにはにまとめています。