くわしく
中小M&Aガイドライン(第3版)の参考資料1は、株式譲渡を、売り手の会社の株主が持っている株式を買い手に渡し、売り手の会社を買い手の子会社にするような方法だとしています。株主が変わるだけで会社の組織はそのまま引き継がれ、会社の資産・負債・社員や取引先との契約・許認可などは原則として続きます。手続きは、ほかの方法と比べて簡単な方だとしています(参考資料1 1ページ)。
株式を渡すのは会社ではなく株主で、多くの場合は社長です(48ページ)。社長が全部の株式を渡す場合は、基本的に、社長が全部の株式を持っている必要があり、ほかの株主から買い取ることが要る場合もあるとしています(35〜36ページ)。
国のデータで見ると
国の「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」では、2024年度に登録機関から報告された売り手側の4,940件のうち、株式譲渡は3,452件(69.9%)、事業譲渡は1,180件(23.9%)でした(2026年10月13日確認)。登録機関から報告のあった案件の集計で、すべてのM&Aを含むものではありません。
誤解されやすい点
- 会社がそのまま残るので、帳簿に出ていない借金(未払いの残業代など)や、まだ起きていないが将来起きうる債務(争いの損害賠償など)も、そのまま引き継がれます。そのため、より細かいデュー・ディリジェンスが行われる傾向があるとガイドラインは書いています(48ページ、参考資料1 1ページ)
- 賃貸借などの契約に、株主が変わると相手が契約を解除できるといった条項(チェンジ・オブ・コントロール条項)がある場合は、契約を続けるために前もって相手との話し合いが要ることがあります(参考資料1 1ページ)
- 代金を受け取るのは株主(社長個人など)で、会社が受け取る事業譲渡とは税の扱いも違います(118ページ)。一般的なしくみは会社を売却したときの税金と手取りにまとめています。税額は税理士に確かめてください