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進め方

保育園のM&A・事業承継|認可・認可外の違いと、運営する法人の形で変わる引継ぎ

保育園を営む会社や社会福祉法人を譲るとき、保育所の認可は株式譲渡なら会社に残り、事業譲渡では廃止の承認と新しい認可が要ります。小規模保育・認可外の届出、社会福祉法人の決まり、保護者と職員への説明を、児童福祉法とこども家庭庁の資料で確かめました。

書いた人

M&A仲介の通信簿 編集部

国の「M&A支援機関登録制度」の届出を毎月取り込み、仲介会社の手数料を同じ条件で計算して載せています。記事は中小企業庁のガイドラインなど公的な資料にもとづいて書き、仲介や交渉、価格や税の助言はしません。

すべり台と砂場のある園庭と保育所の建物の前で、社長と案内役が話しているアイソメトリックのイラスト
社長

株式会社で、認可保育所を1つと小規模保育を2つ営んできました。後継ぎがいないので、会社を譲ることも考えています。保育園の認可は、譲ったらどうなるのでしょう。知り合いの社会福祉法人の理事長からも、同じような相談を受けました。

案内役

保育園(法律では「保育所」)は、施設の種類で認可を出す役所が違い、運営する法人の形で譲り方も変わります。児童福祉法とこども家庭庁の資料で確かめられる範囲を並べます。細かな手続は、認可を出した都道府県や市町村に確かめてください。

先に結論

  • 保育所(認可保育所)は都道府県知事(指定都市・中核市は市長)、小規模保育は市町村長の認可を受けて営みます。認可外の施設は、始めてから1か月以内の届出です(児童福祉法35条・34条の15・59条の2)
  • 株式会社が営む施設を株式譲渡で譲るなら、設置者の会社は同じなので、認可と市町村長の「確認」はそのまま続きます。経営の責任者を変えるときは前もって、代表者や役員などが変わったら10日以内に届け出ます
  • 事業譲渡では、譲る法人が施設をいったん廃止する承認を受け、譲り受ける法人が新しく認可と確認を受けます。過去に取っていた加算も、原則として引き継がれません(こども家庭庁が公表したガイドライン13・34ページ)
  • 社会福祉法人・学校法人・NPO法人には株(持分)がありません。事業を譲って対価を得ても、理事などは受け取れません。社会福祉法人の合併は、社会福祉法人どうしに限られます
  • 保育所は保護者との利用契約を結び直す必要はなく、小規模保育は全員と結び直す扱いです。重要事項の説明は、どちらでもあらためて行います。職員を移すには、一人ひとりの承諾が要ります
  • 国の集計では、2024年度に報告された売り手側の中小M&A 4,940件のうち、医療・福祉は948件でした。事業譲渡が413件で、株式譲渡の356件より多くなっています
  • 仲介会社に頼んだときの手数料と手元に残る額は、譲渡額3,000万円で計算すると機関ごとに見られます

国の数字で見る、保育所の数と保育のM&A

社長

保育所を譲る話は、実際にあるのですか。会社が営んでいる保育所は、どのくらいあるのでしょう。

案内役

国の統計と集計で見られる範囲を並べます。保育だけに絞ったM&Aの件数は、国の集計にはありませんでした。

こども家庭庁の「保育所等関連状況取りまとめ」(2026年4月1日時点)の数です。熊本県の数が未確定のため、暫定値とされています(1ページ)。

  • 施設: 保育所・認定こども園・小規模保育などの合計は40,046か所で、前年より71か所多い(3ページ)
  • 定員と子ども: 利用定員は3,016,417人、利用する子どもは2,646,756人で、どちらも前年より減った(2ページ)
  • 定員充足率: 定員に対する利用する子どもの割合は87.7%で、前年より0.7ポイント下がった。待機児童は2,435人(1ページ)

同じ資料は、過疎地域など待機児童の少ない地域では定員充足率の低下が課題だとし、地域での統廃合や規模の縮小、多機能化などの取組を進めるとしています(5ページ)。人口減少への対応として、保育所が合併や事業譲渡を行うときの手続のガイドラインを作ることも挙げていました(24ページ)。

運営する法人の形は、厚生労働省の「社会福祉施設等調査」(2024年10月1日時点)で見られます。

種類 数 社会福祉法人 会社(営利法人) 公営(市区町村など)
保育所 21,755 11,162(51.3%) 3,443(15.8%) 6,049(27.8%)
小規模保育事業所(A・B・C型) 6,019 1,081(18.0%) 3,190(53.0%) 62(1.0%)

保育所の半分ほどは社会福祉法人が、小規模保育事業所の半分ほどは会社が営んでいます。表にない残りは、医療法人やその他の法人などです。

国の「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」で、業種を「医療、福祉」にして売り手側の件数を見ました(2026年10月16日に確認)。

年度 売り手側の全体 うち医療、福祉 うち事業譲渡 うち株式譲渡
2022年度 4,036件 746件(18.5%) 320件 298件
2023年度 4,681件 874件(18.7%) 392件 342件
2024年度 4,940件 948件(19.2%) 413件 356件

この区分には、保育のほかに介護や病院・診療所なども入ります。全業種では、2024年度の株式譲渡は3,452件(69.9%)、事業譲渡は1,180件(23.9%)で、医療、福祉は事業譲渡の割合が高くなっていました。2024年度の948件のうち829件(87.4%)は仲介の支援を受けたものです。報告のあった案件だけの集計で、すべてのM&Aを含むものではありません。介護の事業の確かめどころは介護事業のM&Aにまとめています。

こども家庭庁のガイドラインがまとめた事業者へのアンケート(9,597事業者が回答)では、合併や事業譲渡の打診をしたか、受けたことがあるのは7.5%でした。打診のあった721事業者の内訳は、社会福祉法人が41.2%、株式会社・有限会社が34.5%、学校法人が13.6%、NPO法人が3.2%です(3〜4ページ)。後継ぎがいないときの道の全体は、後継者がいない会社の選択肢にまとめています。

施設の種類で変わる、認可・確認・届出

社長

認可保育所と小規模保育では、決まりが違うのですか。

案内役

認可を出す役所も、根拠の条文も違います。まず、施設の種類ごとに並べます。

種類 定員 始めるときの手続 出す先 根拠
保育所(認可保育所) 20人以上 認可 都道府県知事(指定都市・中核市は市長) 児童福祉法35条4項・39条
小規模保育事業 6〜19人 認可 市町村長 児童福祉法6条の3第10項・34条の15
認可外保育施設 決まりなし 届出(始めてから1か月以内) 都道府県知事(指定都市・中核市などは市長) 児童福祉法59条の2

認可の出す先は、こども家庭庁のガイドライン(15ページ)と、認可外の現況取りまとめ(1ページ)の整理です。指定都市などが都道府県の事務を受け持つ決まりは、児童福祉法59条の4にあります。

認可のほかに、国や自治体のお金(給付)を受けて運営するには、市町村長の「確認」を受けます。保育所は施設ごとに、小規模保育は事業所ごとに、利用定員を定めて確認されます(子ども・子育て支援法31条・43条)。私立の保育所には、市町村が委託費を払い、保護者からの保育料も市町村が集めるしくみです(同法附則6条)。

保育所の認可の審査では、どの法人も設備と運営の基準に合うかを見られたうえで、運営する法人の形で見られる中身が違います(児童福祉法35条5項)。

  • 社会福祉法人・学校法人: 刑罰を受けたことなどの「欠格事由」に当たらないかを見る
  • 株式会社など、それ以外の法人: 欠格事由に加えて、経営に必要な経済的な基礎があるか、経営を担う役員に社会的な信望があるか、実務の幹部職員に社会福祉事業の知識や経験があるかも見る

小規模保育の認可も、同じ形の審査です(34条の15第3項)。認定こども園は認定こども園法などの決まりもかかり、幼保連携型は社会福祉法人と学校法人などしか設置できません(ガイドライン13ページ)。この記事では、認定こども園はくわしく扱いません。

株式会社なら、株式譲渡で認可は会社に残る

株式譲渡なら保育所の認可は会社に残り、事業譲渡では廃止と新しい認可が要ること、役所に早めに相談することを示した図
社長

会社の株を買い手に渡すだけなら、認可は取り直さなくてよいのですか。

案内役

認可も確認も、設置者である会社に出ています。株主が変わっても会社は同じなので、続くのが基本です。ただ、人が変われば届け出ることがあります。

中小M&Aガイドライン(118ページ)は、株式譲渡は一般に許認可の取り直しが要らず、手続が簡単だとしています。売り方の違いは、用語集の株式譲渡と事業譲渡、記事の株式譲渡と事業譲渡の違いにまとめています。

株式譲渡のあとに届け出る、主な場面です。

変わること 届出の期限と出す先 根拠
保育所の経営の責任者や、福祉の実務を担う幹部職員 変える前に、都道府県知事に 児童福祉法施行規則37条6項
保育所の定款・名称など 変わってから1か月以内に、都道府県知事に 同37条5項
小規模保育の経営の責任者・幹部職員 変える前に、市町村長に 同36条の36第4項
確認を受けた施設の代表者・役員・管理者・運営規程など 10日以内に、市町村長に。役員や長の変更には誓約書を付ける 子ども・子育て支援法35条1項・47条1項、同法施行規則33条・41条

買い手の会社から役員を迎えると、役員の変更の届出と誓約書が要ります。どなたが役員や施設長になるかは、最終契約の前に確かめておけます。

園舎を借りている場合は、賃貸借契約も見ておけます。中小M&Aガイドライン(22・56ページ)は、株主が変わると相手に解除の権利が生じる「チェンジ・オブ・コントロール条項」があると、契約を続けるために前もって家主などとの話し合いが要ることがあるとしています。

事業譲渡では、廃止の承認と新しい認可を同時に進める

社長

会社は残して、小規模保育の1か所だけをほかの法人に譲ることもできますか。

案内役

認可は施設や事業所ごとなので、1か所ずつ譲る形はとれます。ただ、認可そのものは移りません。譲る側の廃止と、譲り受ける側の新しい認可を、間を空けずに進めます。

こども家庭庁のガイドラインは、保育所等は施設・事業所の単位で認可を受けるので、事業所の単位の事業譲渡を扱うとしています(10ページ)。そのうえで、どの法人の形でも、譲る法人は施設をいったん廃止し、譲り受ける法人が新しく設置する必要があるとしています(13ページ)。

手続 譲る法人 譲り受ける法人 根拠
保育所 廃止の承認(都道府県知事など) 設置の認可 児童福祉法35条4項・12項
小規模保育 廃止の承認(市町村長) 事業の認可 同34条の15第2項・7項
市町村長の確認 確認の辞退などの扱いを市町村に確かめる 新しく確認の申請 子ども・子育て支援法31条・43条、ガイドライン15・48ページ

ガイドラインに書かれている進め方です(45〜46・60ページ)。

  • 事前の相談: 保育所は認可を出す役所に、確認は市町村に、前もって相談する。保育所は市町村の子ども・子育て支援事業計画をふまえて確認されるので、市町村との調整が欠かせない
  • 同時の申請: 譲り受ける側の設置の認可の申請と、譲る側の廃止の承認の申請を同時に行う。保育の継続のため、間を置かずに進められるよう日程を合わせる
  • 審査: 譲り受ける法人が保育の事業者として適格か、保育の質が続くかなどが見られる。保育所は児童福祉審議会の意見を聞いて判断される(児童福祉法35条6項。市町村長への協議も同条7項)
  • 運営の開始: 法人どうしで譲渡が決まっていても、認可を得るまでは運営を始められない

廃止の承認の申請には、廃止の理由、入所している子どもの処置、廃止の期日と財産の処分を書きます(児童福祉法施行規則38条・36条の37)。知事や市町村長は、条件を付けて承認できます。ガイドラインは、認可や確認が確定的になった段階で、対価などを書いた契約を結ぶとしています(38ページ)。基本合意の段階から、認可を得られることを最終契約の前提条件にしておく例も挙げています(29ページ)。

譲り受ける側の調べ(デュー・ディリジェンス)で、保育所ならではの確かめどころとして挙がっているものです(34〜37ページ)。

  • 加算: 譲る法人が取っていた加算は、原則として引き継がれず、譲り受ける法人が申請し直す
  • 指導監査: 改善の勧告や命令を受けていないか、進行中の指導監査で指摘がないか。指摘事項は引き継がれる場合がある
  • 人と労務: 保育士の配置の基準を満たしているか、持ち帰りの残業などの未払い賃金がないか
  • 園舎と補助金: 借りている園舎は、家主から賃借権の譲渡の同意を得られるか。補助金で建てた建物の処分の制限に触れないか

補助金で取得した財産を、承認を受けずに譲渡することは禁じられています(補助金適正化法22条)。ガイドラインは、補助金を受けて取得した保育所等を事業譲渡で有償で譲る場合などは、残りの期間に応じた補助金の返還が必要になるとしています(16ページ)。一方で、小規模保育の譲渡で、事業が続くため返還は要らないと役所に確かめられた例も載っています(63ページ)。扱いは、補助を出した自治体に確かめてください。

社会福祉法人・学校法人・NPO法人は、株がない

社長

社会福祉法人の理事長の相談は、どう考えればよいですか。会社と同じように売れるのでしょうか。

案内役

社会福祉法人には株がないので、株を売る形はとれません。事業を譲っても、そのお金を理事長が受け取ることはできません。違いを並べます。

法人の形 株を譲る形 事業を譲った対価 法人の側の主な手続
株式会社 とれる 会社が受け取り、株主への配当などに使える 取締役会など。所轄庁の手続は要らない
社会福祉法人 とれない(持分がない) 理事などは受け取れない 定款の変更の認可、基本財産の処分の承認、評議員会の決議
学校法人 とれない(持分がない) 理事などは受け取れない 寄附行為の変更の認可など(施設の種類による)
NPO法人 とれない(持分がない) 理事などは受け取れない。次の活動の資金に使う 定款に書いた事業の届出、社員総会

表は、こども家庭庁のガイドライン(12・19・42・83ページ)の整理です。社会福祉法人の定款の変更は、所轄庁の認可を受けなければ効力が生じません(社会福祉法45条の36)。

社会福祉法人どうしの合併には、次の決まりがあります。

  • 相手: 合併の相手は、ほかの社会福祉法人に限られる(社会福祉法48条・49条)
  • 認可: 合併は、所轄庁の認可を受けなければ効力が生じない(50条3項・54条の6第2項)
  • 引き継ぐもの: 存続する法人は、消える法人の一切の権利と義務を、事業に関する行政庁の認可などに基づくものも含めて引き継ぐ(50条2項・54条の6第1項)
  • お金: 持分がないので、合併の対価という考え方は成り立たない。相手の法人の役員に、合併の承諾などを条件に個人的に金銭を払うことは認められない(ガイドライン83ページ)

ガイドラインは、存続する法人が営んでいた保育所は認可の申請をし直す必要はない一方、消える法人が営んでいた保育所は、設置者が変わるため改めて認可を申請するとしています(84ページ)。合併のときにどの手続が要るかは、認可を出した都道府県・市と、法人の所轄庁に確かめてください。

役員の退職金にも注意が書かれています。ガイドラインは、譲渡に伴って理事などが退職するときは、退職金の規程や理事会の決議の根拠があること、金額を合理的に説明できること、譲渡の対価と切り離されていることなどを挙げ、役員退職金を装った譲渡の対価と受け取られないようにする対応が必要だとしています(41ページ)。

保護者と自治体への説明、職員の引継ぎ

保育所の明るい職員室で、社長と案内役が机に広げた書類を見ながら、説明の段取りを相談している場面
社長

保護者や職員には、いつ、どう伝えればよいのでしょう。

案内役

保育所と小規模保育で、保護者との契約の扱いが違います。職員は、売り方で引き継ぎ方が変わります。

ガイドライン(70〜71ページ)の整理です。

種類 保護者との利用契約の結び直し 重要事項の説明
保育所 要らない(市町村による行政の処分のため) あらためて説明し、署名をもらう
小規模保育 保護者全員と結び直す あらためて説明し、署名をもらう

国の運営の基準は、保育所などが保育を始めるときに、運営規程の概要や職員の勤務の体制など重要な事項を文書で説明し、同意を得ることを求めています(特定教育・保育施設等の運営に関する基準5条)。ガイドラインは、譲渡の目的や背景、譲渡のあとの運営について、決める前に保護者全員に説明することが望ましいとしています(70ページ)。入園の申込みが始まる前に関係者へ説明し、保護者説明会も開いた例が載っています(72ページ)。

自治体には、売り方を決める前の段階から相談しておけます。ガイドラインは、相手を探す方法の一つに自治体への相談を挙げ、後継の法人の紹介や、自治体が主導する移管の公募がある場合もあるとしています(25ページ)。

職員の雇用は、売り方で次のように変わります。

  • 株式譲渡: 雇い主の会社は変わらない
  • 事業譲渡: 雇用は自動では移らない。職員一人ひとりの承諾が要る(民法625条1項、厚生労働省の指針)。労働条件を変えて移すときは、その変更への同意も要る(指針)
  • 退職金: 形の上では、譲る法人を一度退職し、譲り受ける法人と雇用契約を結び直すので、退職金の扱いと払う元手を前もって考えておく(ガイドライン68ページ)
  • 合併: 雇用契約は、存続する法人などにまとめて引き継がれる(指針)

厚生労働省の指針は、移ることを承諾しなかったことだけを理由とする解雇は認められないとしています。保育士の数は、0歳児おおむね3人に1人、1・2歳児おおむね6人に1人、3歳児おおむね15人に1人、4歳以上児おおむね25人に1人以上と決まっていて、1施設で2人を下ることはできません(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準33条2項)。ガイドラインは、自治体の上乗せの基準も含めて満たしているかを確かめるとしています(35ページ)。職員が移らないと、この基準を満たせなくなるおそれがあります。

認可外保育施設を譲るとき

社長

認可外の施設を営んでいる知人もいます。認可外なら、手続は簡単なのですか。

案内役

認可はありませんが、届出や報告の決まりがあります。設置者が変わるときの扱いは、都道府県などで確かめておけます。

こども家庭庁の現況取りまとめでは、2025年3月31日時点で届出の対象の認可外保育施設は20,068か所、入所する就学前の子どもは208,811人でした(1・3ページ)。届出の対象の施設には、原則として年1回以上の立入調査が行われます(1ページ)。

場面 決まり 根拠
始めるとき 始めてから1か月以内に、名称・設置者・管理者などを届け出る 児童福祉法59条の2第1項
届け出た事項が変わったとき 設置者の名称や管理者などが変わったら、1か月以内に届け出る 同2項、同法施行規則49条の4
やめるとき 廃止・休止から1か月以内に届け出る 同2項
運営中 設置者名などの掲示とネットでの公表、契約時の書面の交付、毎年の運営状況の報告 同59条の2の2〜59条の2の5

株式譲渡なら設置者の会社は同じなので、管理者などが変わったときの変更の届出が中心になります。事業譲渡で設置者が別の法人に変わるときは、扱いが自治体で違うことがあります。徳島県の手引きは、設置する者が変わったときは新しい設置届、社名の変更だけなら変更届としています(2ページ)。譲り受けた法人は、利用者と契約したときに、設置者の名称や支払う額などを書いた書面を渡します(59条の2の4)。

幼児教育・保育の無償化の対象(施設等利用費)になるには、届出をして国の基準を満たした施設が、設置者の申請で市町村長の確認を受けます(子ども・子育て支援法7条10項4号・58条の2)。確認は設置者の申請によるので、設置者が変わるときの扱いは市町村に確かめてください。企業主導型保育事業は、子ども・子育て支援法59条の2の「仕事・子育て両立支援事業」として国の助成を受ける、届出の対象の施設です(こども家庭庁のページ)。助成の扱いは、助成の窓口にも確かめておけます。

手数料と手元に残る額、相談の入口

社長

仲介会社に頼むと、手数料はどのくらいかかりますか。保育所は、いくらくらいで譲られているのでしょう。

案内役

手数料に法の決まりはなく、機関ごとに違います。保育所の譲渡の値段は、法人の形で大きく違うと、国のガイドラインに書かれています。

中小M&Aガイドライン(63ページ)は、仲介者・FAの手数料には一般的な法規制がなく、料金の体系は各社によるとしています。国の登録データ(2026年10月12日取得)で、仲介の売り手側の最低手数料を届け出た2,506機関の中央値は300万円(税抜)でした。1,000万円以上と届け出た機関は554ありました。

こども家庭庁のガイドライン(40ページ)は、社会福祉法人やNPO法人が営む保育所等の譲渡では、公益性や補助金などの公的な資金が入っていることから値段を上乗せしにくく、無償の譲渡や、数十万円から数百万円、建物・設備の残りの価値ほどの値段で行われているのが実情だとしています。譲渡額が小さいと、最低手数料の重さが大きくなります。たとえば譲渡額1,000万円なら、300万円はその30%です。

計算機は、届出の成功報酬に、成功報酬に含まれない着手金・中間金を足して、機関ごとに並べます(月額報酬は足していません)。譲渡額1,000万円で計算すると、手数料と手元に残る額の目安を見られます。小さな会社ほど手数料が手取りに響くしくみは小さな会社のM&Aに、費用の全体はM&Aにかかる費用の全体に、値段の考え方は会社はいくらで売れる?にまとめています。

ガイドライン(24ページ)は、仲介会社を使うときは、保育の事業の特性や公益性を理解しているかを見ること、法人の理事会などで、仲介者が要る理由、選んだ理由、手数料の額が業務に見合うかを判断することを挙げています。

確かめたいこと 聞く先
認可・確認・届出の手続と時期 認可を出した都道府県・市、確認をした市町村の保育の担当課
補助金で建てた園舎の扱い 補助を出した自治体
社会福祉法人の定款・基本財産・合併 法人の所轄庁
会社を売るかどうか・売り方 事業承継・引継ぎ支援センター(相談は無料。中小M&Aガイドライン66ページ)・仲介会社・FA
契約書・税・労務 弁護士・税理士・社会保険労務士

センターのことは事業承継・引継ぎ支援センターとはに、売るまでの流れは会社を売るにはにまとめています。ほかの業種の確かめどころは、介護事業のM&A・建設業のM&A・運送業のM&A・製造業のM&Aの記事にあります。

よくある質問

社長 複数の保育所のうち、1か所だけを譲れますか?
案内役

認可は施設・事業所ごとに出ているので、1か所ずつ譲る形はとれます。その施設について、譲る側が廃止の承認を受け、譲り受ける側が新しく認可と確認を受けます(ガイドライン10・13ページ)。会社ごと譲る株式譲渡では、会社が営むすべての施設がそのまま会社に残ります。

社長 社会福祉法人の理事長は、法人を譲るときにお金を受け取れますか?
案内役

社会福祉法人には持分がなく、合併の対価という考え方は成り立たないとされています。相手の法人の役員に、合併の承諾などを条件に個人的に金銭を払うことは認められません(ガイドライン83ページ)。規程に基づく正当な役員退職金は払えるとされていますが、譲渡の対価と切り離されていることなどが求められます(41・83ページ)。個別の判断は、所轄庁や弁護士に確かめてください。

社長 処遇改善の加算や、ほかの加算は引き継げますか?
案内役

事業譲渡では、譲る法人が取っていた加算は原則として引き継がれず、譲り受ける法人が申請し直します(ガイドライン34ページ)。処遇改善等加算は、賃金やキャリアパスの要件を譲り受ける法人で満たせるかで取れるかが決まるので、前もって確かめておけます(68ページ)。株式譲渡では施設の設置者は変わりません。個々の加算の扱いは、このサイトでは判断しません。市町村に確かめてください。

社長 相手が見つからず、施設を閉じるときは?
案内役

保育所は、都道府県知事などの廃止の承認を受けます(児童福祉法35条12項)。市町村長の確認は、3か月以上の予告の期間を設けて辞退でき、続けて保育を望む子どもがほかの施設で保育を受けられるよう、連絡や調整をする決まりがあります(子ども・子育て支援法34条5項・36条。小規模保育は46条5項・48条)。たたむときの費用や手続は会社をたたむか、売るかにまとめています。

社長

株を譲るなら認可は会社に残り、施設だけを譲るなら廃止と新しい認可を同時に進めるのですね。まず市の保育の担当課に、小規模保育の手続を聞いてみます。理事長には、社会福祉法人の決まりが違うことを伝えます。

案内役

認可と確認、保護者との契約、職員の雇用は、施設の種類と売り方で扱いが変わります。仲介会社に頼むときは、届出の手数料を比べ、契約の前に書面で確かめてください。

このデータについて

  • 法令は、2026年10月16日にe-Gov法令検索で確かめました。児童福祉法・子ども・子育て支援法は2026年10月1日施行の版、社会福祉法は2026年6月25日施行の版です。保育所の基準は国の府令をもとに都道府県などが条例で定めるので、細かな点は地域で違うことがあります
  • 事業譲渡・合併の手続、値段の実情、保護者への説明の扱いは、こども家庭庁が2026年3月31日の事務連絡で周知した「保育所等の合併・事業譲渡等に関するガイドライン」(国の調査研究事業で作成)の記述です。事務連絡は、自治体への技術的な助言とされています。ページは印字の番号です
  • 保育所等の数・定員・待機児童は「保育所等関連状況取りまとめ(令和8年4月1日)」の暫定値、法人の形ごとの数は「令和6年社会福祉施設等調査」(2024年10月1日時点)の第5表です。時点が違います
  • 認可外保育施設の数は「令和6年度 認可外保育施設の現況取りまとめ」(2025年3月31日時点)です
  • M&Aの件数は、M&A支援機関登録制度HP「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」で、2026年10月16日に確かめました。「医療、福祉」には介護・医療なども入り、保育だけの件数は分かりません。国の登録機関から報告のあった案件だけの集計です
  • 最低手数料の中央値は、M&A支援機関登録制度HP 登録支援機関データベースを加工して作成しました(取得日 2026年10月12日)。仲介の業務がある機関の届出2,509件から、入力の誤りとみられる10億円以上の3件を除いて数えました。データは各機関の届出(自己申告)です
  • 中小M&Aガイドライン(第3版)のページは、PDFのページです
  • このサイトは、特定の仲介会社や買い手をすすめません。認可・確認の手続、補助金や加算、法律・税についての判断や助言は行いません

出典

売るかどうか決めていなくても、相談できます。電話の営業はしません。 相談のページへ