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進め方

クリーニング店のM&A・事業承継|クリーニング所の届出・クリーニング師と、取次店で確かめること

クリーニング店や工場を売るとき、クリーニング所の届出は2023年12月から事業譲渡でも承継の届出で引き継げます。クリーニング師を置く決まり、取次所と無店舗取次店、ドライクリーニングの溶剤と工場の土地・建物、国の数字と手数料を、法令と厚生労働省などの資料で確かめました。

書いた人

M&A仲介の通信簿 編集部

国の「M&A支援機関登録制度」の届出を毎月取り込み、仲介会社の手数料を同じ条件で計算して載せています。記事は中小企業庁のガイドラインなど公的な資料にもとづいて書き、仲介や交渉、価格や税の助言はしません。

仕上がった衣類が並ぶ小さなクリーニング店と工場の前で、社長が衣類を示し、案内役が話を聞いているアイソメトリックのイラスト
社長

クリーニングの工場を1つと、取次の店を8つ、株式会社で40年営んできました。子どもは継がないと言っています。会社を売るとしたら、保健所の届出やクリーニング師、取次の店はどうなるのでしょう。

案内役

クリーニング所の届出は、2023年12月13日から、事業を譲るときも届出で引き継げるようになりました。売り方による違い、クリーニング師を置く決まり、取次所や工場の溶剤のことまで、クリーニング業法と厚生労働省などの資料で確かめた範囲をご案内します。手続きの最後の確認は、保健所や専門家にお願いします。

先に結論

  • 洗濯をするクリーニング所(取次所を除く)は、2024年度末に19,379でした。10年前(2014年度末)の30,371から36%減っています。取次所も76,341から48,172に減りました(厚生労働省「衛生行政報告例」)
  • 経営者が60歳以上のクリーニング業の企業で、事業承継の「意向なし」は35.0%でした。生活衛生関係の業種の全体(21.8%)より高い割合です(日本政策金融公庫 2025年6月)
  • 2023年12月13日から、事業譲渡でも買い手が届出でクリーニング所の営業者の地位を引き継げます。新しい開設の届出や、使う前の検査は要りません(クリーニング業法5条の3、厚生労働省の通知)
  • 株式譲渡なら、届出をした会社がそのまま残ります。届け出た事項が変われば、変更を届け出ます
  • 洗濯をするクリーニング所には、所ごとにクリーニング師を1人以上置く決まりです(法4条)。社長がそのクリーニング師なら、退いたあとに誰が務めるかが確かめどころです
  • ドライクリーニングの溶剤は、土壌の調査の決まり(テトラクロロエチレン)や、建物を建てられる場所の決まり(引火性の石油系溶剤)にかかわることがあり、買い手が調べる点になりえます
  • 仲介会社に頼んだときの手数料と手元に残る額は、譲渡額1,000万円で計算すると、機関ごとに比べられます

国の数字で見る、クリーニング所とM&A

社長

クリーニング店を売る話は、実際にあるのですか。店の数も減っていると聞きます。

案内役

国の統計で、店の数と、国の登録機関に報告されたM&Aの件数を見られます。M&Aの件数はクリーニングだけに絞れないので、クリーニングを含む業種の区分で見ます。

厚生労働省の「衛生行政報告例」で、クリーニング業の施設の数を見ました(各年度末)。

区分 2014年度末 2020年度末 2024年度末
クリーニング所(取次所を除く) 30,371 23,403 19,379
取次所 76,341 58,138 48,172
無店舗取次店(営業者の数) 1,801 2,159 2,304

2024年度の1年で、取次所を除くクリーニング所は1,099(5.4%)、取次所は2,020(4.0%)減りました。車で集配する無店舗取次店は、38(1.7%)増えています(2024年度の概況 5ページ)。

厚生労働省の「クリーニング業の振興指針」(2025年3月)は、衛生行政報告例をもとに、クリーニング所で働くクリーニング師は34,869人で、10年前より16,243人減ったとしています。全国生活衛生営業指導センターの調査をもとに、従業者5人未満の事業者が76.9%、2023年度の経営者の年齢は70歳以上が42.5%、60〜69歳が21.2%だったとも書いています(1ページ)。

日本政策金融公庫が2025年3月上旬に、経営者が60歳以上の生活衛生関係の企業に尋ねた調査では、クリーニング業(160企業)の答えは次のとおりでした(2・6ページ)。

  • 事業承継の意向: 「意向あり(第三者への売却・譲渡を含む)」38.8%、「意向なし」35.0%、「現時点では考えていない」26.3%。意向なしの割合は、9つの業種の中でいちばん高い
  • 承継しない理由(意向なしの企業・複数回答): 「後継者(後継者候補)がいない」61.8%、「当初から自分の代でやめようと考えていた」54.5%、「業績が悪い」52.7%(全体は26.6%)

国の「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」は、業種を大きな区分でしか絞れません。クリーニング業(洗濯業)は「生活関連サービス業、娯楽業」に入ります(総務省「日本標準産業分類」)。この区分の売り手側の件数です(2026年10月16日に確認)。

年度 売り手側の全体 うち生活関連サービス業、娯楽業 うち株式譲渡 うち事業譲渡
2022年度 4,036件 173件(4.3%) 93件 67件
2023年度 4,681件 206件(4.4%) 110件 85件
2024年度 4,940件 204件(4.1%) 118件 80件

この区分には、理容・美容・浴場、旅行、娯楽なども入り、クリーニング業だけの数ではありません。2024年度の事業譲渡の割合は39.2%で、全業種の23.9%より高めでした。204件のうち145件は、仲介の支援を受けたものです。国の登録機関から報告のあった案件だけの集計で、すべてのM&Aを含むものではありません。

後継者がいないときの道の全体は、後継者がいない会社の選択肢にまとめています。

売り方で変わる、クリーニング所の届出

株式譲渡なら届出は会社に残り、事業譲渡と合併・分割では承継の届出をすること、保健所に前もって相談することを示した図
社長

会社を売ったら、保健所の届出は出し直しになるのですか。

案内役

売り方で変わります。株式譲渡なら、届出をした会社がそのまま残ります。事業譲渡や合併では、引き継ぐ側が「営業者の地位」を引き継ぎ、そのことを届け出ます。

クリーニング業法では、クリーニング業を営む人や会社を「営業者」、洗濯や、洗濯物の受取・引渡しをする施設を「クリーニング所」と呼びます(法2条)。クリーニング所を開くには、前もって都道府県知事(保健所を設置する市や特別区では市長・区長)に届け出て、構造設備の検査で確認を受けてから使います(法5条・5条の2・14条)。

売り方 届出の扱い 保健所への主な手続き 根拠
株式譲渡 届出をした会社が営業者のまま 届け出た事項が変われば、変更の届出 法5条3項
事業譲渡(個人の店を含む) 買い手が営業者の地位を引き継ぐ 買い手が遅滞なく承継の届出。譲渡を証する書類を付ける 法5条の3、施行規則2条の2
合併・会社分割 存続する会社や、営業を引き継ぐ会社が引き継ぐ 承継の届出。登記事項証明書を付ける 法5条の3、施行規則2条の4・2条の5
相続(個人の店) 相続人が引き継ぐ 承継の届出。戸籍謄本などを付ける 法5条の3、施行規則2条の3

「地位を引き継ぐ」とは、届出をした人と同じ権利と義務の関係に立つことで、引き継ぐ前と後で、届出の内容は原則として変わりません(厚生労働省の通知 2023年8月3日)。

中小M&Aガイドライン(118ページ)は、事業譲渡では許認可を原則として取り直す必要がある、としています。クリーニング所の届出は、この例外にあたります。改正の前のクリーニング業法は、地位を引き継げる場面を相続・合併・分割に限っていました(e-Govの改正前の版で確認)。2023年12月13日に施行された改正(令和5年法律第52号)で、営業の譲渡が加わりました。名古屋市の案内は、改正の前は、個人経営から法人経営への切り替えや別の法人への譲渡などで、譲り受けた人が改めて届出をしていたとしています。この日より前の譲渡には、新しい決まりは当てはまりません(改正法の附則8条1項)。

株式譲渡では、届出をした会社は変わりません。ただ、東京都南多摩保健所の手引きは、法人の代表者やクリーニング師が変わったときに、変更の届出が要るとしています。届け出る事項や様式は、自治体ごとに違うことがあります。

事業譲渡で届出を引き継ぐときの手続き

社長

事業を譲るときは、保健所に、いつ、何を出せばよいのですか。

案内役

譲ったあと、買い手が遅滞なく届け出ます。売り手は、その前に保健所に相談しておけます。

  • 届け出る人と時期: 地位を引き継いだ買い手が、遅滞なく、クリーニング所の所在地の都道府県知事など(窓口は保健所)に届け出る(法5条の3第2項、施行規則2条の2)。窓口は所在地で決まるので、店がいくつもの市にまたがるときは、それぞれの窓口に確かめる
  • 届出書に書くこと: 買い手と売り手の名前と住所、譲渡の年月日、クリーニング所の名称と所在地。ほかにもクリーニング所を営んでいれば、その一覧も付ける(施行規則2条の2・2条)
  • 付ける書類: 営業の譲渡が行われたことを証する書類。基本は譲渡契約書の写しなどで、売り手と買い手、施設、譲渡した旨、譲渡の日を書いた両者の覚書なども例に挙がっている(2023年8月3日・11月29日の通知)
  • 要らないもの: 新しい開設の届出、使う前の検査、売り手の廃止の届出(2023年8月3日の通知)
  • 前もっての相談: 通知は、譲る予定があるときは可能な限り前もって相談するよう、営業者に知らせることを自治体に求めている
  • 譲ったあと: 当分の間、譲渡の日から6か月以内に少なくとも1回、保健所が業務の状況を調べる(改正法の附則8条2項、2023年11月29日の通知)。資格者がいるか、施設の基準を満たしているかなどを確かめるとされている(2023年8月3日の通知)

手数料の扱いは自治体が決めます(2023年11月29日の通知)。名古屋市は、クリーニング所の承継の届出に手数料は要らないとしています。

個人の店主が会社をつくって店を移す「法人成り」も、譲渡として扱われます。会社の登記事項証明書だけでは足りず、店主と会社の間の譲渡契約書の写しなどが要るとされています(2023年8月3日・11月29日の通知)。

名古屋市の案内は、売り手と買い手で届出の内容や図面を前もって共有し、買い手は売り手が保健所に出した図面などを保管するよう求めています。開設の届出の控えや図面がそろっているかを、売る前に見直しておけます。

クリーニング師を置く決まりと、社長が退いたあと

クリーニング工場のプレス機のそばで、社長が仕上がったシャツを示し、案内役が話を聞いている場面
社長

工場のクリーニング師は、私だけです。私が辞めたら、どうなりますか。

案内役

洗濯をするクリーニング所には、所ごとにクリーニング師を1人以上置く決まりです。社長が退いたあと誰が務めるかは、買い手との話の中で決めておけます。

クリーニング師は、都道府県知事が行う試験に合格して免許を受けた人です(法6条・7条)。法律と省令の主な決まりです。

決まり 中身 根拠
クリーニング師を置く 洗濯をするクリーニング所ごとに1人以上。受取と引渡しだけの所は除く。個人の店主が自らクリーニング師で、主に1か所で働くなら、その所は除く 法4条
クリーニング師の研修 業務に就いてから1年以内、その後は3年を超えない期間ごとに受ける 法8条の2、施行規則10条の2
従業者の講習 開設から1年以内に、従業者の5分の1(端数は切り上げ・最低1人)を衛生管理の担当に選んで受けさせる。その後は3年を超えない期間ごと。研修を受けたクリーニング師は、講習を受けた者とみなす 法8条の3、施行規則10条の3
変わったとき 開設の届出には、クリーニング師の名前と登録番号を書く。変われば変更の届出 法5条1・3項、施行規則1条の3

クリーニング師を置く決まりに違反していると、都道府県知事などは、守らせるための措置を命じます。命令に従わないときは、営業の停止やクリーニング所の閉鎖を命じることができます(法10条の2・11条)。

社長がただ一人のクリーニング師なら、社長が退いたあとに工場で誰が務めるかを、早めに書き出しておけます。社員にクリーニング師がいるか、買い手の側で用意するかです。2023年8月3日の通知によると、事業譲渡のあとの保健所の調査でも、資格者がいるかが確かめられます。振興指針が書くとおり、クリーニング師の数は10年で大きく減っていて、人の手当ては買い手も気にする点です。

事業譲渡で、クリーニング師を含む社員に買い手の会社へ移ってもらうには、一人ひとりの承諾が要ります(民法625条1項)。中小M&Aガイドライン(49ページ)は、経営者による引継ぎの期間や、従業員の雇用を続ける努力を、最終契約で決める主な内容に挙げています。社員への伝え方は会社を売ることを、家族と社員にいつ・どう伝える?にまとめています。

取次所・無店舗取次店と、店の契約

社長

取次の店は、スーパーの一角や、借りた小さな店舗にあります。これも届出がいるのですか。

案内役

受取と引渡しだけをする取次所も、クリーニング所の一つです。どの店がどの名義で届け出ているか、店の場所の契約がどうなっているかを、一覧にしておけます。

  • 取次所: 受取と引渡しのための施設も「クリーニング所」で、開くときは届け出る(法2条4項・5条1項)。届出書には、受取と引渡しだけを行う旨を書く(施行規則1条の3)。クリーニング師を置く決まりは無い(法4条)
  • 無店舗取次店: 店を持たずに車で受取と引渡しをする営業も、営業する区域ごとに届け出る(法5条2項、施行規則1条の2・1条の3)。事業譲渡などで地位を引き継げるのは、クリーニング所と同じ(法5条の3)
  • 苦情の申出先: 店頭に、苦情を受け付けるクリーニング所の名称・所在地・電話番号を掲げ、受取や引渡しのときに書面を配る(法3条の2第2項、施行規則1条の2)。売ったあと名称や連絡先が変わるなら、掲示と書面も直すことになる

店や営業の形ごとに、書き出しておけることです。

店・営業の形 法律での扱い 書き出しておけること
工場(洗濯をする所) クリーニング所。クリーニング師を置く 開設の届出の控えと図面、クリーニング師の名前
取次所(受取と引渡しだけ) クリーニング所。届出は要るが、クリーニング師は要らない 店ごとの届出の名義と所在地、場所の契約
無店舗取次店(車での集配) 営業する区域ごとの届出 営業する区域、使う車両

取次所を置かせてもらっている場所の契約も、売り方で扱いが変わりえます。中小M&Aガイドラインは、賃貸借契約や取引基本契約などに、株主が変わると相手が契約を解除できる「チェンジ・オブ・コントロール条項」が入っていることがあるとしています(22ページ)。リース契約や賃貸借契約の名義の変更は、クロージングの前から相手と話し合い始めることが多いとも書いています(56ページ)。借りている店舗の賃貸借や敷金の扱いは、飲食店・美容室の売却にまとめています。

工場の溶剤と、土地・建物で確かめること

社長

工場ではドライクリーニングもしています。工場の土地は、私の名義です。

案内役

使う溶剤によっては、土壌の調査の決まりや、建物を建てられる場所の決まりにかかわります。買い手が調べる点でもあるので、先に確かめておけます。

厚生労働省の調査(2024年5月1日時点)では、ドライクリーニングの溶剤を使う施設は13,177で、石油系溶剤を使う施設が12,496、テトラクロロエチレンを使う施設が889でした(「ドライクリーニングにおける溶剤の使用管理状況等に関する調査(令和6年度)」2ページ)。

溶剤 かかわる決まり 根拠
テトラクロロエチレン 洗濯業の洗浄施設は水質汚濁防止法の「特定施設」。この溶剤のような有害物質を使う特定施設の使用をやめると、土地の土壌を調べて知事に報告する決まりがある。予定する土地の使い方から健康被害のおそれがないと、知事の確認を受けたときは除く 水質汚濁防止法施行令2条・別表第1、土壌汚染対策法3条、同法施行令1条
石油系溶剤など、引火性の溶剤 住居系の地域などでは、建築基準法の用途規制(建物の用途で、建てられる場所を決める決まり)にかかわる。安全対策をとって同法48条の許可を受ける道が示されている 国土交通省の技術的助言(2010年9月10日)

テトラクロロエチレン: 特定施設を届け出た人から施設を譲り受けたり借り受けたりした人や、合併・分割で引き継いだ会社は、届け出た人の地位を引き継ぎ、30日以内に届け出ます(水質汚濁防止法11条)。施設の使用をやめたときも、30日以内に届け出ます(同法10条)。厚生労働省の調査では、テトラクロロエチレンを使う889施設のうち、587施設が水質汚濁防止法の特定施設として届け出ていました(2ページ)。

引火性の溶剤: 国土交通省が2010年8月31日時点でまとめた全国の調査では、ドライクリーニング工場28,821件のうち、14,479件(50.2%)で用途規制の違反がありました。国土交通省は同じ年に、安全対策をとった工場に建築基準法48条の許可を出す運用を、自治体に示しています。住居専用の地域では工場そのものが建てられず、ほかの住居系の地域でも作業場の広さなどに制限があります(技術的助言 1〜2ページ)。振興指針(2025年)も、住居地域などで引火性の溶剤を使うクリーニング所には、建築基準法への対応が求められているとしています(5ページ)。

中小M&Aガイドラインは、買い手の弁護士が行う法務のデュー・ディリジェンスで、許認可・コンプライアンス・環境問題などを調べることが多いとしています(126ページ)。不動産が第三者の名義だったり担保が付いていたりすると、譲ったあとの事業に支障が出うること(36ページ)、社長個人の名義で事業に使っている土地は、買い手に売るか引き継ぐかを、できるだけ最終契約の前に整理しておくのが望ましいことも書かれています(55ページ)。

手数料と手元に残る額、相談の入口

社長

手数料はどのくらいかかりますか。どこに相談すればいいですか。

案内役

手数料は計算機で機関ごとに見られます。届出は保健所、売るかどうかや相手探しは、公的な窓口でも相談できます。

国の登録データ(2026年10月12日取得)で、仲介の売り手側の最低手数料を届け出た2,506機関の中央値は300万円でした(入力の誤りとみられる10億円以上の3件を除く)。譲渡額が1,000万円なら、その3割にあたります。譲渡額1,000万円で計算する・譲渡額3,000万円で計算すると、機関ごとの手数料と手元に残る額を並べて見られます。計算機は、成功報酬に含まないと届け出た着手金・中間金を足し、月額報酬は足していません。中小M&Aガイドライン(63ページ)は、仲介者・FAの手数料には一般的な法規制がないとしています。小さな会社ほど手数料が手取りに響くしくみは小さな会社のM&Aに、費用の全体はM&Aにかかる費用の全体にまとめています。

公的な相談先には、次のものがあります。

  • 日本政策金融公庫の事業承継マッチング支援: 売り手も買い手も無料。公庫から借りていない人も、生活衛生同業組合や商工会・商工会議所、税理士などの紹介があれば使える。公庫は相手の紹介と情報の提供だけを行い、仲介はしない(公庫のQ&A)
  • 公庫の生活衛生事業承継・集約・活性化支援資金: 生活衛生関係の営業で、事業の承継・集約を行う人や、承継・集約される人などが使える融資。振興計画の認定を受けた生活衛生同業組合の組合員でない人は、都道府県知事の推せん書が要る(設備資金の申込みが500万円以下なら不要)。使えるかは公庫の支店に確かめる
  • 事業承継・引継ぎ支援センター: 国の委託を受けた機関が全国48か所に置く公的な窓口で、相談は無料(中小M&Aガイドライン60・66ページ)。くわしくは事業承継・引継ぎ支援センターとはをご覧ください

確かめたいことごとの、聞く先の例です。

確かめたいこと 聞く先
クリーニング所の届出・承継の届出・クリーニング師 保健所・行政書士
溶剤の届出・排水・土壌 都道府県や市の環境の担当
工場の建物の用途 都道府県や市の建築の担当
社員の雇用 社会保険労務士
売るかどうか・相手探し 事業承継・引継ぎ支援センター・公庫・仲介会社

中小M&Aガイドライン(130ページ)は、許認可の手続きは行政書士、労働・社会保険の手続きは社会保険労務士が担うことも多いとしています。売るまでの流れは会社を売るにはにまとめています。

ほかの業種の確かめどころは、飲食店・美容室の売却・製造業のM&A・建設業のM&A・運送業のM&A・介護事業のM&A・学習塾のM&A・農業法人のM&Aの記事にまとめています。

よくある質問

社長 取次の店だけを営んでいます。クリーニング師がいなくても売れますか?
案内役

受取と引渡しだけを行うクリーニング所には、クリーニング師を置く決まりはありません(法4条)。事業譲渡なら、買い手が届出で営業者の地位を引き継ぐ点も同じです。従業者に講習を受けさせる決まりは取次所にもあるので(施行規則10条の3)、受講の記録もそろえておけます。

社長 2023年12月より前に、店を譲り受けました。今の届出はどうなっていますか?
案内役

事業譲渡で地位を引き継げる決まりは、2023年12月13日より前の譲渡には当てはまりません(改正法の附則8条1項)。名古屋市の案内は、それより前は、譲り受けた人が改めて届出をする扱いだったとしています。今の届出が誰の名義になっているかは、保健所に確かめてください。

社長 会社にしていない、個人の店です。どう売るのですか?
案内役

個人事業主のM&Aは、事業譲渡の形が通常とされています(中小M&Aガイドライン49ページ)。クリーニング所の届出は、買い手が承継の届出で引き継げます。株式譲渡との違いは株式譲渡と事業譲渡の違いで比べています。

社長 買い手が見つからず、工場をたたむときは?
案内役

クリーニング所を廃止したら、速やかに届け出ます(法5条3項)。テトラクロロエチレンを使う施設を特定施設として届け出ているなら、使用をやめた日から30日以内の届出と、土壌汚染対策法の土壌の調査が当てはまることがあります(水質汚濁防止法10条、土壌汚染対策法3条)。たたむときの費用と手続きの比べ方は会社をたたむか、売るかにまとめています。

社長

届出は、譲るときも引き継げるのですね。まず、工場と取次の店ごとの届出の控え、クリーニング師の名前、使っている溶剤を書き出してみます。

案内役

株式譲渡なら変更の届出、事業譲渡なら承継の届出です。クリーニング師と溶剤のことは買い手も確かめるので、早めにそろえておくと話を進めやすくなります。手続きは保健所に、手数料は計算機で確かめてください。

このデータについて

  • 法令は、2026年10月16日にe-Gov法令検索で確かめました。事業譲渡の決まりが加わる前の条文は、e-Govの改正前の版(2023年12月1日時点)で確かめました
  • 承継の届出の扱いは、厚生労働省の通知(2023年8月3日・11月29日)、東京都南多摩保健所の手引き、名古屋市の案内で確かめました。様式や手数料、届け出る事項の細かな扱いは、自治体ごとに違うことがあります
  • 施設の数は「衛生行政報告例」の2024年度と2014年度の概況(各年度末。ページは印字の番号)、クリーニング師の数と経営者の年齢は「クリーニング業の振興指針」(2025年3月。ページはPDFのページ)、溶剤ごとの施設の数は厚生労働省の2024年度の調査(2024年5月1日時点)です
  • 事業承継の意向は、日本政策金融公庫の調査(2025年3月上旬。経営者が60歳以上の生活衛生関係の企業。ページは印字の番号)です
  • M&Aの件数は、M&A支援機関登録制度HP「登録支援機関を通じた中小M&Aの集計結果」で、業種「生活関連サービス業、娯楽業」に絞って2026年10月16日に確かめました。クリーニング業だけの数ではなく、国の登録機関から報告のあった案件だけの集計です
  • 最低手数料の中央値は、M&A支援機関登録制度HP 登録支援機関データベースを加工して作成しました(取得日 2026年10月12日)。届出のある2,509機関から、入力の誤りとみられる10億円以上の3件を除いて数えました
  • 中小M&AガイドラインのページはPDFのページです
  • このサイトは、特定の仲介会社や買い手、専門家をすすめません。届出の手続き、環境や建築の規制、法律や税についての助言は行いません。個別のことは、保健所や各窓口、専門家に確かめてください

出典